相続による事業継承
個人事業者が亡くなると、その事業を相続人が後継者として引き継いでいくことが多いと思います。その際に事業自体はそのまま引き継がれ継続していくことになりますが、相続人は新規開業の事業者と同様とされますので、新たに各種の届出等が必要となります。
そこで今回はそれら各種届出について注意点を踏まえて解説していきます。
(1)青色申告承認申請
通常の新規開業の場合の提出期限は、開業後2ヶ月以内であるが、事業を継承した場合は被相続人の死亡の日により以下のようになります。
A死亡の日が1月1日~8月31日
死亡の日から4ヶ月以内
B死亡の日が9月1日~10月31日
その年の12月31日
C死亡の日が11月1日~12月31日
翌年2月15日
(2)給与支払事業所等の開設届出
これも相続人が引き続き給与の支払を行う場合であっても新規の事業所となる為、遅滞なく届出を行う必要があります。
(3)源泉所得税の納期の特例の承認申請
これも新たに承認申請を行う必要があります。納期の特例の承認の効果は、承認申請をした後に到来する納期限から適用になります。この申請が遅れますと申請の前月末までに源泉徴収した分については、原則通り納付しなければならなくなりますので、特に注意してください。
(4)青色事業専従者に関する届出
被相続人の青色事業専従者として届出されていた人を同様に青色専従者とする場合も新たに届出が必要です。
(5)減価償却資産の償却方法選択の届出
相続により引き継いだ減価償却資産については、取得価額及び耐用年数を引き継ぐことになるが、償却方法については被相続人と同じ方法を引き継ぐ必要はありません。従って、事業を継承した年の確定申告書の提出期限までに届出をすれば選択することができます。
(6)棚卸資産の評価方法選択の届出
相続により取得した棚卸資産は、被相続人の準確定申告の期末棚卸高の金額を引き継ぐことになりますが、期末の棚卸資産の評価方法については、(5)と同様に事業を継承した年の確定申告書の提出期限までに届出をすることにより選択することができます。