中小企業の欠損金の繰戻還付
これまで、適用が停止されていた中小企業の欠損金の繰戻還付制度が復活しました(これまでは、一部の条件を充たしている場合に限定されていました)。早速、平成21年2月以後に終了する各事業年度から適用となっています。
● 概要
前年度が黒字で納税し、当年度が赤字だった場合に前年度に納税した法人税が還付される制度です。
(例) 前期の所得100万円で22万円納税、当期の所得△200万円の場合
(これまで)当期の欠損金200万円は、翌期以降の所得から控除し翌期の税負担を軽減
(繰戻還付)当期の欠損金のうち100万円を前期に繰戻し前期の納税額22万円を還付
残りの欠損金100万円は翌期以降の所得から控除し翌期の税負担を軽減
翌期以降が必ずしも所得が出るとは限りませんし、この経済状況においては非常に有意義な制度です。
● 要件
・青色申告していること(還付所得事業年度から欠損事業年度まで連続して)
・欠損事業年度の確定申告書を期限内に提出していること
・欠損事業年度の確定申告書と同時に還付請求書を提出すること
● 注意点
<法人事業税との関係>
法人事業税においてはこの繰戻還付制度がありません。この為、翌期以降へ繰り越す欠損金の金額が法人税と乖離してしまいます。翌期以降において、法人税が納税で法人事業税が納税無しとなる事もある為、注意が必要です。
<法人住民税との関係>
法人住民税の法人税割については、法人税の繰戻還付が行なわれてもこの還付金に対応する還付を直ちに行なわず、還付された法人税額を7年にわたり順次繰り越して控除した法人税額を課税標準とするようになります(地方公共団体の財政運営に与える影響を考慮しての取り扱いです)。
この繰越を行なうには、還付を受けた事業年度以後「第六号様式別表二の三」、「第二十号様式別表二の三」を添付する必要がありますので、注意してください。
また、この影響で、法人事業税と同様に法人税が納税でも法人住民税(均等割は別として)が納税無しとなる事もある為、注意が必要です。