書面添付制度
●制度の趣旨
書面添付制度とは、税理士法第33条の2の書面が申告書に添付されている場合において、
税務当局が納税者に税務調査の日時・場所をあらかじめ通知する際、その通知前に税理士
等に対して、添付書面の記載事項に関する意見聴取を行なう機会を与えることとされたもの
をいいます。
つまり、書面添付が行なわれていた場合には、仮に税務調査が予定されたとしても、事前に
税理士等に意見聴取をする機会を与えてもらえる制度です。
書面添付制度は税理士等に与えられた権利であり強制されるものではありません。また、手
間もかかる為、添付を行っている税理士等は少なく、まだ全体のほんの一部となっています。
なお、弊事務所はほとんどの顧問先に対してこの制度を活用して書面添付を行なっております。
ちなみに税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面の1面~3面、法第33条の2第2項に
規定する添付書面の1面~3面に全く記載がないものは、添付書面が添付されていたとしても
添付書面には該当しないとして扱われます。
●意見聴取
税務当局は、予告調査を予定した場合、事前に税理士等に対し意見聴取を行う旨を連絡し、
原則として税理士等に来署依頼する方法により意見聴取を行います。
意見聴取は、税理士等の権利の一つとして位置付けられ、添付書面を添付した税理士等が
申告に当たって計算等を行った事項に関することや、意見聴取前に生じた疑問点を解明する
ことを目的として行われるものです。したがって、こうした制度の趣旨・目的を踏まえ意見聴取
により疑問点が解明した場合には、結果的に調査に至らないこともあり得ます。
意見聴取を行った結果、調査の必要がないと認められた場合には、税理士等に対して「現時
点では調査に移行しない」旨の連絡が、原則として意見聴取結果についてのお知らせ(書面)
により行われます。
なお、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない」旨を連絡した場合であっても、その後
申告書の内容等に対する新たな疑義が生じたときには、調査することを妨げるものではありま
せん。ただし、この場合は改めて事前に意見聴取が行われます。
納税者から見て煩わしい税務調査、できることなら該当しない事が望ましいというのは皆さん
の思うところですよね。今後は書面添付の実行の有無が、税理士等を選ぶ際のポイントの
一つになってくるかもしれません。