10月から施行される「消費税転嫁対策特別措置法」の概要
消費税率の引上げ(平成26年4月に8%、平成27年10月に10%を予定)に際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保を目的とする「消費税転嫁対策特別措置法」は、平成25年10月1日から施行されます(平成29年3月31日まで適用)。
◆消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
平成26年4月1日以降に供給する商品又は役務について、「特定事業者」が「特定供給事業者」に対して消費税の転嫁を拒む行為等を禁止します。
※特定事業者とは、*大規模小売事業者、*特定供給事業者から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者
※特定供給事業者とは、*大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者、*資本金等の額が3億円以下である事業者や個人事業者等
【禁止される行為】
①減額や買いたたき ②購入強制・役務の利用強制・不当な利益提供の強制 ③税抜価格での交渉の拒否 ④報復行為
◆消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
平成26年4月1日以降に供給する商品又は役務の取引について、消費税分を値引きする等の宣伝や広告が禁止されます。
【禁止される表示】
①取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示(例:「消費税は転嫁しません」、「消費税は当店が負担しています」) ②取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの(例:「消費税率上昇分値引きします」) ③消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって②に掲げる表示に準ずるもの(例:「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」)
◆価格の表示に関する特別措置
1. 平成25年10月1日以降、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保や事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例が設けられます。
※適用した場合、できるだけ速やかに「税込価格」を表示するように努めることとされています。
【具体的な表示の例】
①値札、チラシ、商品カタログ、ウェブページ等において、商品等の価格を次のように表示する。
○○円(税抜) ○○円(税抜価格) ○○円(本体価格) ○○円+税
②個々の値札等においては「○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の目に付きやすい場所に、「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示を行う。
2. 事業者が税込価格に併せて、税抜価格を表示する場合において、税込価格が明瞭に表示されているときは、景品表示法第4条第1項(不当表示)の規定は適用しないこととされました。
◆消費税の転嫁及び表示の方法に係る共同行為に関する特別措置
平成26年4月1日以降に供給する商品又は役務を対象にした、事業者又は事業者団体が行う転嫁カルテル・表示カルテルが独占禁止法の適用除外となります(公正取引委員会が定めた期間内にあらかじめ届け出ることが必要)。
【転嫁カルテル】 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為で、参加事業者の3分の2以上が中小企業者であることが必要です。(例:事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に消費税額分を上乗せする決定、端数を切上げ、切捨て、四捨五入等により合理的な範囲で処理する決定)
※税込価格や税抜価格(本体価格)を決めることは、独占禁止法に違反する行為です。
【表示カルテル】 消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為で、全ての事業者等が対象です。(例:「税込価格」と「消費税額」とを並べて表示する方法を用いる決定)