第196回国会で4月以降に成立した主な改正法等(企業関連)
♦働き方改革関連法
Ⅰ.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。
・使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
・特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設等を行う。
Ⅱ.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
・有期雇用労働者について、正規雇用労働者と①職務内容②職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保を義務化。
・派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。
・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
【施行期日】Ⅰは平成31年4月1日(中小企業における時間外労働の上限規制は平成32年4月1日、中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年4月1日)、Ⅱは平成32年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正は平成33年4月1日)。
♦健康増進法の改正
・多数の者が利用する施設等の類型に応じ、その利用者に対して、一定の場所以外の場所における喫煙を禁止する。
・学校・病院・児童福祉施設等は、「敷地内禁煙」とし、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置することができる。
・上記以外の事務所・飲食店等は「原則屋内禁煙(喫煙専用室)でのみ喫煙可」とする。
・経過措置として、既存の飲食店のうち、個人または中小企業(資本金又は出資の総額5000万円以下)かつ客席面積100㎡以下の飲食店(既存特定飲食提供施設)については、標識を掲示することで屋内の全部又は一部の場所を喫煙をすることができる場所として定めることができる。
【施行期日】一部を除き、平成32年4月1日。
♦不正競争防止法等の一部改正
◎不正競争防止法の一部改正
・相手方を限定して業として提供するデータ(ID/パスワード等の電磁的方法により管理されているものに限る)の不正な取得、使用および開示を不正競争に位置づけ、これに対する差止請求権等の民事上の措置を設ける。
・暗号等の技術的制限手段について、その効果を妨げる機器の提供等だけでなく、その効果を妨げる役務の提供等も不正競争とする。
◎工業標準化法の一部改正
・標準化の対象にデータ、サービス等を追加し、「日本工業規格(JIS)」を「日本産業規格(JIS)」に、法律名を「産業標準化法」に改める。
・認証を受けずにJISマークの表示を行った法人等に対する罰金刑の上限を1億円に引き上げ(現行は自然人と同額の上限100万円)。
◎特許法等の一部改正
・これまで一部の中小企業が対象だった特許料等の軽減措置を、全ての中小企業に拡充する。
・特許出願等における新規性喪失の例外期間を6月から1年に延長する。
・特許料等のクレジットカード払いを認める。
【施行期日】一部の規定を除き、公布の日(5月30日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日。