第201回通常国会で4月以降に成立した主な改正等の概要
◆年金制度改正法
◎被用者保険(厚生年金保険、健康保険)の適用拡大
(1)短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件(現行、従業員数500人超)を段階的に引下げ、令和4年10月に100人超、令和6年10月に50人超とする。
(2)5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士、社会保険労務士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。※令和4年10月施行。
◎在職中の年金受給の在り方の見直し※令和4年4月1日施行。
(1)65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年10月に改定する。
(2)60歳から64歳の在職老齢年金制度について、年金の支給が停止される基準を現行の28万円から、65歳以上の在職老齢年金制度と同じ47万円に引上げる。
◎受給開始時期の選択肢の拡大※令和4年4月1日施行。
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期について、繰下げ受給の上限年齢を75歳に引上げ、60歳から75歳の間で選択可能とする。
◎確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
(1)確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等の選択肢を拡大する。
(2)中小企業向け制度の「簡易型DC」や「中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)」の対象範囲を現行の100人以下から300人以下に拡大する。
◆中小企業成長促進法
中小企業成長促進法は、経営承継円滑化法、中小企業等経営強化法、地域未来投資促進法、産業競争力強化法、中小機構法の5つの法律をまとめて改正したものとなっている。
◎事業承継時の経営者保証の解除支援
中小企業が承継時に保証債務を借り換える際、経営者保証を不要とする信用保証制度(経営承継借換関連保証)を創設。また、中小企業が他の事業者から事業用資産等を取得して事業承継(第三者承継)する際、経営者保証なしでM&A資金等を調達できるよう信用保証制度を拡充する。
◎中堅企業の成長環境の整備
地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者が、事業拡大により中小企業要件に該当しなくなっても、計画期間中は同計画による中小企業支援を継続する特例を措置する。
◎中小企業向け施策体系の整理
中小企業向け計画認定制度について、異分野連携新事業分野開拓計画、特定研究開発等計画、地域産業資源活用事業計画を整理・統合し、経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の3計画を中心とした施策への整理を行う。※一部を除き、公布(令和2年6月19日)から6ヵ月以内に政令で定める日から施行。
◆道路交通法の改正
◎あおり運転に対する「妨害運転罪」の創設※令和2年6月30日施行
(1)他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反(車間距離不保持、急ブレーキ禁止違反等の10類型)をした場合、懲役3年以下又は罰金50万円以下、違反点数25点、免許取消し。
(2)(1)の行為により他の車両等に著しい危険(高速道路での停車等)を生じさせた場合、懲役5年以下又は罰金100万円以下、違反点数35点、免許取消し。
◎高齢運転者対策の充実・強化※公布(令2年6月10日)から2年以内に施行
(1)75歳以上で一定の違反歴のある者は、運転免許証更新時に運転技能検査を受けていなければならないこととし、その結果が一定の水準に達しない者は運転免許証の更新をさせない。
(2)申請により、対象車両を安全運転サポート車に限定するなどの条件付免許を与える。
◆著作権法の改正
◎リーチサイト対策※令和2年10月1日施行
違法にアップロードされた著作物(侵害コンテンツ)へのリンク情報を集約した「リーチサイト」や「リーチアプリ」を運営する行為等を刑事罰の対象し、リンクを掲載する行為等を著作権等を侵害する行為とみなし、民事上・刑事上の責任を問えるようにする。
◎侵害コンテンツのダウンロード違法化※令和3年1月1日施行
違法にアップロードされた著作物のダウンロード規制について、対象を音楽・映像に限らず著作物全般(漫画・書籍・論文・コンピュータプログラムなど)に拡大し、漫画の1コマ~数コマなど軽微なものや、二次創作・パロディ、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合のダウンロードは規制対象外とする。