第203回臨時国会で成立した主な改正法等の概要
◆予防接種法の改正
・新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について、予防接種法の臨時接種に関する特例を設け、厚労大臣の指示のもと都道府県の協力により、市町村において予防接種を実施する。
・予防接種を行うために要する費用は、国が負担する。
・予防接種の勧奨又は予防接種を受ける努力義務に係る規定は、予防接種の有効性及び安全性に関する情報等を踏まえ、政令で規定ごとに対象者を指定して適用しないこととすることができる。
・政府は、ワクチンの使用による健康被害に係る損害を賠償すること等によって生じた製造販売業者等の損失を補償することを約する契約を締結できることとする。
◆被災者生活再建支援法の改正
・被災者生活再建支援金の支給対象を拡大し、半壊世帯のうち大規模半壊世帯には至らないが、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ居住が困難であると認められる「中規模半壊世帯(※損害割合30%台)」を追加する。
・中規模半壊世帯に対する支給額は住宅の再建手段に応じて、建設・購入は100万円、補修は50万円、賃借は25万円とする。
・公布の日(令和2年12月4日)から施行する。ただし、令和2年7月3日以後に発生した自然災害(令和2年7月豪雨を含む)の被災世帯に対する支援金は、新法の規定を適用する。
◆郵便法の改正
・通常郵便物(手紙、はがき等)の配達頻度を「週6日以上配達」→「週5日以上配達」に緩和し、土曜配達を休止する。
・また、通常郵便物の送達日数を郵便物の差出日から「原則3日以内に配達」→「原則4日以内に配達」に緩和し、翌日配達は翌々日配達に変更する。
・個々の「配達局」単位で差し出した場合に割引が適用される郵便区内特別郵便物について、各配達局の上位にある「地域区分局」に一括して差し出しても割引料金を適用する。
・公布の日(令和2年12月4日)から6月を超えない範囲内の政令で定める日から施行。
◆五輪特別措置法の改正
・東京オリンピック・パラリンピックが約1年延期となったことに伴い、令和3年の祝日の特別措置として、海の日を7月22日、スポーツの日を7月23日、山の日を8月8日とする。
・来日する大会関係者を対象とした大会関連活動に係る所得税、法人税、法人住民税等の非課税措置について、適用期限を令和3年12月31日まで延長する。
◆労働者協同組合法
・組合員が出資し、それぞれの意見を反映して事業が行われ、組合員自ら事業に従事することを基本原理とする「労働者協同組合」を法制化し、設立、管理その他の事項を定める。
・一部を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。
◆特定非営利活動促進法の改正
・NPO法人の設立認証の申請があった場合における必要書類の縦覧期間を2週間に短縮し、公表等の対象からの住所又は居所の除外する。
・認定NPO法人等の役員報酬規程及び職員給与規程について、既に所轄庁に提出されている内容に変更がない場合は、毎事業年度の提出は不要とする等、提出書類を削減する。
・公布の日から起算して6月を経過した日から施行。
◆スポーツ振興投票法の改正
・スポーツ振興くじの投票の対象競技にバスケットボールを加える。
・公布の日から10日を経過した日から施行。
◆種苗法の改正
・登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすい権利とするため、品種登録制度を見直す。
・一部を除き令和3年4月1日から施行。
◆生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例
・女性が自己以外の女性の卵子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、その出産をした女性をその子の母とする。
・妻が夫の同意を得て、夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子について、夫は、民法第774条の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない。
・公布の日から1年を経過した日から施行し、その日以後に出生した子について適用する。