第208回通常国会で4月以降に成立した主な改正法等の概要
◆経済安全保障推進法
・国民の生存に必要不可欠又は国民生活・経済活動が依拠している重要な物資で、安定供給確保が特に必要な物資を「特定重要物資」として指定し、事業者の取組を支援するとともに、安定供給確保が困難と認めるときは政府が更なる対策を講じる制度を創設。
・基幹インフラ(電気・ガス・水道等)の重要設備が我が国の外部から行われる役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、重要設備の導入・維持管理等の委託を事前に審査する制度を創設。
・先端的な重要技術の研究開発の促進とその成果の適切な活用のため、資金支援、官民伴走支援のための協議会設置、調査研究業務の委託(シンクタンク)等を措置。
・安全保障上機微な発明の特許出願につき、公開や流出を防止するとともに、安全保障を損なわずに特許法上の権利を得られるようにするため、保全指定をして公開を留保する仕組みや、外国出願制限等を措置。
・一部を除き、公布の日(令和4年5月18日)から9ヵ月以内の政令で定める日から施行。
◆消費者契約法等の改正
・契約(意思表示)を取り消すことができる不当な勧誘行為に、*勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘、*威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害などを追加。
・無効とする消費者契約の条項に、不明確な一部免責条項を追加。
・事業者の努力義務として、消費者の求めに応じて、解除権の行使に関して必要な情報を提供すること及び解約料の算定根拠の概要を説明すること等を規定。
・一部を除き、公布の日(令和4年6月1日)から1年を経過した日から施行。
◆民事訴訟法等の改正
・オンラインによる訴えの提起、訴訟記録の電子化、ウェブ会議を活用した口頭弁論期日等の民事裁判手続のIT化を行う。
・当事者の申出により、手続を開始した期日から6ヵ月以内に審理を終えるとともに、審理の終結から1ヵ月以内に判決の言渡しをする制度を創設(消費者契約に関する訴え等を除く)。
・犯罪被害者等の氏名等を相手方に秘匿することができる制度を創設。
・原則、公布の日(令和4年5月25日)から4年以内の政令で定める日から施行。
◆刑法等の改正
・刑事施設における受刑者の処遇及び執行猶予制度等のより一層の充実を図るため、懲役及び禁錮を廃止して拘禁刑を創設し、その処遇内容等を定めるなど所要の措置を講じる。
・近年における公然と人を侮辱する犯罪の実情等に鑑み、侮辱罪の法定刑について「1年以下の信役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引上げる。
・公布の日(令和4年6月17日)から3年以内の政令で定める日から施行。ただし、侮辱罪の法定刑引上げは公布の日から20日を経過した日から施行。
◆道路交通法の改正
・運転者がいない状態での自動運転(レベル4相当)に係る許可制度を創設。
・最高速度や車体の大きさが一定の基準に該当する車両(電動キックボード等)を「特定小型原動機付自転車」とし、運転免許は不要(16歳未満は運転禁止)、ヘルメット着用を努力義務とする。
・運転免許に係る情報を個人番号カードに記録することができることとする。
・公布の日(令和4年4月27日)から1年以内の政令で定める日から施行。ただし、特定小型原動機付自転車は公布の日から2年以内、免許情報の個人番号カードへの記録は公布の日から3年以内の政令で定める日から施行。
◆建築物省エネ法等の改正
・建築物分野における省エネ対策を加速するため、*全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け(現行は中大規模の非住宅)、*トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充、*省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度の創設などを実施。
・一部を除き、公布の日(令和4年6月17日)から3年以内の政令で定める日から施行。
◆旅券法の改正
・一般旅券の発給申請、紛失・焼失の届出、渡航書の発給申請をオンライン化する。
・旅券の査証欄の増補を廃止し、旅券の査証欄に余白がなくなったときに、より低額な費用で新たに一般旅券を発行できるようにする。
・公布の日(令和4年4月27日)から1年以内の政令で定める日から施行。