令和2年10月から実施される主な税制の概要
◆たばこ税の見直し
・たばこ税の税率について、平成30年10月1日から1本当たり1円ずつ三段階(平成30年10月1日、令和2年10月1日、令和3年10月1日)で引上げを実施します。
・加熱式たばこについて、紙巻たばことの税負担の差を縮小させるため、平成30年10月1日から課税方式が見直され、五段階(平成30年10月1日~令和4年10月1日)で引上げを実施します。
・軽量な葉巻たばこ(1本当たりの重量が1g未満)について、紙巻たばこと同等の税負担となるよう令和2年10月1日から課税方式を見直し、二段階(令和2年10月1日、令和3年10月1日)で引上げを実施します。
◆酒税率の見直し
・ビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の税率について、令和2年10月1日から三段階で見直し(ビール・発泡酒の税率引下げ、新ジャンルの税率引上げ)を実施し、令和8年10月1日に一本化します。
・醸造酒類(清酒、果実酒等)の税率について、清酒と果実酒との税率格差を解消するため、令和2年10月1日から二段階で見直し(清酒の税率引下げ、果実酒の税率引上げ)を実施し、令和5年10月1日に一本化します。
◆年末調整手続の電子化
・平成30年度税制改正により、保険料控除証明書及び住宅ローン控除申告書については令和2年10月1日以降に勤務先に提出するものから、年末残高等証明書については令和2年10月1日以降に交付を受けるものからそれぞれ電子データで提供できるよう手当てされ、年末調整手続の電子化に向けた施策が実施されます。
・年末調整手続の電子化とは、1従業員が控除証明書等を電子データで取得して年末調整申告書データを作成すること、2勤務先が従業員から1の年末調整申告書データ及び控除証明書等データの提供を受けて年税額等の計算を行うことで、年末調整に係る事務負担を軽減するための施策です。
・従業員が勤務先に年末調整申告書に記載すべき事項を電子データにより提供するためには、勤務先があらかじめ給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があります。
◆電子帳簿等保存制度の見直し
・バックオフィスの効率化による企業等の生産性向上を図る観点から、電子的に受け取った請求書等をデータのまま保存する場合の要件(現行は、データの受領後遅滞なくタイムスタンプを付与、又は改ざん防止等のための事務処理規程を作成し運用)について、緩和(選択肢の追加)する見直しが行われました。
・今和2年10月1日以後に行う電磁的記録の保存について、発行者側のタイムスタンプが付与されたデータを受領、2データの訂正・削除を行った場合にその記録が残るシステム、又は訂正・削除ができないシステムを利用していることが要件に加わります。
◆居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化
・居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物で高額特定資産に該当するもの)に係る仕入税額については、住宅家賃(非課税売上)に対応するものとして、本来仕入税額控除の対象となるべきものではありませんが、近年、作為的な金の売買を継続して行う等の手法で意図的に多額の課税売上げを計上し課税売上割合を増加させることにより、仕入税額控除による還付を受けた上で課税売上割合が著しく変動した場合の調整措置の適用を免れる事例が散見されていることから、令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととします。
・ただし、令和2年3月31日までの契約に基づき、同年10月1日以後に取得した居住用賃貸建物については、この改正は適用されません。
・上記により取得時の仕入税額控除が制限された居住用賃貸建物について、居住用賃貸建物の仕入れ等の日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は他の者に譲渡した場合には、それまでの貸付けの額及び譲渡の額を基礎として計算した額を、仕入れに係る消費税額に加算して調整します。