平成25年1月から開始される制度等(国税以外)の概要
◆退職所得に係る個人住民税
平成25年1月1日以降に支払われるべき退職手当等について、適用されます。
◎退職所得に係る個人住民税の所得割額から10%税額控除される措置が廃止
【改正前】住民税額=退職所得金額×税率10%×0.9
【改正後】住民税額=退職所得金額×税率10%
◎勤続年数5年以下の法人役員等の退職所得金額を1/2にする措置が廃止
【勤続年数5年以下の法人役員等】退職所得金額=収入金額-退職所得控除額
【上記以外の場合】 退職所得金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
◆個人住民税の生命保険料控除
平成24年1月1日以後に締結した保険契約等については、新たに介護医療保険料控除が設けられ、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除のそれぞれの適用限度額は28000円となります。ただし、合計適用限度額は70000円のまま変更ありません。
なお、平成3年12月31日以前に締結した保険契約等に関しては、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額35000円)が適用されます。
◆中小企業退職金共済法施行規則の改正
中小企業退職金共済制度において、退職金の支給は、退職した従業員が制度を運営する独立行政法人勤労者退職金共済機構(勤退機構)に請求した場合に行われますが、受給資格があるのに請求を行っていないため退職金が支払われていない場合があります。
今回の改正は中退共に加入している中小企業の事業主に対して、従業員(被共済者)が退職した際に勤退機構へ提出する被共済者退職届に従業員の住所を記載すること等を義務付けることにより、退職者の住所を的確に把握し、確実な請求勧奨を行うことを目的とするものです。
◆株取引における信用取引制度の改正
*新規建をして、同じ日に建玉返済を行った信用取引の保証金は、当日中に他の信用取引には使えませんでしたが、改正後は同一の保証金で1日に何度でも売買ができるようになります。
*信用取引で得た利益は3営業日後まで委託保証金に反映することができませんでしたが、改正後は、建玉返済後すぐに次の信用取引に利用できるようになります。
*建玉を返済しても3営業日後まで委託保証金が拘束されますが、改正後は、約定後すぐに保証金の引出が可能になります。
*追証解消方法は保証金の追加差し入れのみでしたが、改正後は返済した建玉金額の20%に相当する額が追証金額から差し引かれますので、解消方法が多様化されます。
◆著作権法の改正
下記の著作物の一定の利用行為につき、著作権等の侵害にならないとする規定を整備。
*付随対象著作物としての利用(例:写真撮影等において本来の対象以外の著作物が付随して対象となる、いわゆる「写り込み」)
*許諾を得るための検討等の過程に必要と認められる利用(例:許諾前の資料の作成)
*技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用(例:録音・録画に関するデジタル技術の研究開発・検証のための複製等)
*情報通信の技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用(例:サーバ内で行われるインターネット上の各種複製)
◆家事事件手続法
家事事件(夫婦間の紛争や成年後見など家庭に関する事件のことをいい、家事審判と家事調停に分かれます)の手続は、昭和22年に制定された家事審判法で定められていますが、全面的に見直され、新たに家事事件手続法が制定されることになりました。
手続きの基本に関する規定を整備し、当事者の手続き保証を図る為の制度の充実、利便性の向上を図るための制度の創設・見直しがなされ、例えば、*原則として、申立書の写しが相手方に送付される、*事件の当事者であれば、家事審判事件の記録を見たり、コピーすることが、原則として許可、*電話会議・テレビ会議システムを利用できるなどが新たに設けられました。