平成26年4月から施行される主な社会保険制度の改正点
◎産前産後休業期間中の保険料免除
・産前産後休業期間中(産前42日・多胎妊娠の場合は98日、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)の保険料が免除されます。
・平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる方(平成26年4月分以降の保険料)が対象となります。
・事業主は「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。
◎産前産後休業を終了した際の標準報酬の改定
・産前産後休業後に報酬が下がっていた場合は、産前産後休業終了後の3ヵ月間の報酬額をもとに、新しい標準報酬月額を決定し、その翌月から改定します。
・平成26年4月1日以降に産前産後休業が終了となる方が対象となります。
・被保険者(事業主経由)は「産前産後休業時報酬月額変更届」を提出する必要があります。
◎育児休業給付の充実(今国会で成立予定)
育児休業給付(休業開始前賃金の50%支給)について、1歳未満の子を養育するための育児休業をする場合の休業開始後6月につき、休業開始前の賃金に対する給付割合を67%に引き上げます。
◎遺族基礎年金の支給対象の拡大
夫が亡くなった場合に「子のある妻」または「子」に遺族基礎年金が支給されていましたが、改正後は妻が亡くなった場合に「子のある夫」も支給対象となります。
◎未支給年金の請求範囲の拡大
未支給年金(亡くなった方が受け取れるはずであった未払いの年金)を受け取れる遺族の範囲は、生計を同じくする「配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹」でしたが、改正後は「3親等以内の親族」(甥・姪、おじ・おば、子の配偶者など)まで拡大されます。
◎任意加入者の未納期間の取扱い見直し
国民年金の任意加入被保険者(基礎年金制度導入前のサラリーマンの妻や、基礎年金制度導入後の海外在住者など)が保険料を納付しなかった期間については未納期間とされ、年金を受け取るために必要な期間に算入されませんでしたが、改正後はこの未納期間が受給資格期間に算入されます。
◎老齢年金の繰下げ支給の取扱い見直し
老齢年金の受給権を取得した日から5年を経過した日後に繰下げの請求があったときは請求の翌月から増額された年金が支給されていましたが、改正後は請求が遅れたときでも、5年を経過した日の属する月の翌月から増額された年金が支給されます。
◎障害年金の額改定請求に係る待機期間の緩和
障害基礎年金または障害厚生年金を受けている方の障害の程度が増進した場合、その前の障害状態の確認等から1年の待機期間を経た後でなければ年金額の改定請求ができませんでしたが、改正後は省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には1年を待たずに請求することができます。
◎所在不明の年金受給者に係る届出の義務化
年金の受給者が所在不明となって1ヵ月以上経過した場合、世帯員(住民票上の世帯が同一の方)はその旨を年金事務所へ届出ることが必要となります。(生存の事実確認ができない場合は、年金の支払いが一時止まります)
◎70~74歳の方の一部負担金の見直し
70~74歳(3割負担の方、後期高齢者医療の対象となる一定の障害認定を受けた方は除く)までの被保険者・被扶養者の方が窓口で支払う一部負担金の割合について、平成26年4月1日以降に70歳になる被保険者等(誕生日が昭和19年4月2日以降の方)は、70歳になる日の翌月以後の診療分から、療養に係る一部負担金等の割合が2割になります。
※平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)は、引き続き軽減特例措置の対象となるため、1割のままです。