平成26年度税制改正によるNISAの制度改正
◆改正の概要
NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の口座開設について、これまで同一の勘定設定期間内(①平成26年1月1日~平成29年12月31日、②平成30年1月1日~平成33年12月31日、③平成34年1月1日~平成35年12月31日)における非課税管理勘定の設定は1金融商品取引業者等に限られていましたが、一定の手続の下で、同一の勘定設定期間内においても金融商品取引業者等を変更(非課税管理勘定の再設定)することができることとされました。ただし、同一年分の非課税管理勘定は、同時に2以上の金融商品取引業者等で設定することはできないため、変更しようとする年分の非課税管理勘定に既に上場株式等を受け入れていた場合、その年分については変更することはできません。
また、非課税口座を廃止した場合についても、一定の手続の下で、同一の勘定設定期間内に非課税口座を再開設することができることとされました。ただし、廃止した年分の非課税管理勘定に既に上場株式等を受け入れていた場合、その年分については再開設することはできません。
上記の改正は、平成27年1月1日以後に提出する「金融商品取引業者等変更届出書」又は「非課税口座廃止届出書」について適用されます。
【平成26年分勘定を設定している場合の例】
A金融機関に平成26年分勘定を設定している場合、現行は平成29年分まで他の金融機関に変更することはできませんが、改正により、平成27年分勘定に上場株式等を受け入れていない場合は、一定の手続の下で、B金融機関に非課税口座を開設し、平成27年分勘定を設定することができます。つまり、以下のように年分ごとに金融商品取引業者等の変更が可能となります。
26年 | 27年 | 28年 | 29年 | 30年 | 31年 | 32年 | 33年 | |||
26年分 | A金融機関 | |||||||||
27年分 | B金融機関 | |||||||||
28年分 | C金融機関 | |||||||||
29年分 | D金融機関 |
※金融商品取引業者等を変更する際の届出書の提出は、変更しようとする非課税管理勘定の年分の前年10月1日から1年を経過する日(9月30日)までの間に行う必要があります。ただし、平成26年分非課税管理勘定を設定している方が、平成27年分非課税管理勘定より金融商品取引業者等を変更する場合は、平成27年1月1日から平成27年9月30日までの間にこの届出書の提出を行うこととなります。
◆NISA口座での取引における注意点Q&A
Q. NISA口座で、年間60万円までしか上場株式等を購入しなかった場合、残りの40万円は翌年に繰り越して使用することができる?
A. その年の未使用枠(この場合は40万円)を翌年に繰り越して使用することはできません。また、上場株式等を売却した後、売却部分の枠を再利用することもできません。
Q. NISA口座で発生した譲渡損失と、特定口座や一般口座での譲渡益との損益通算や、その損失の繰越控除はできる?
A. NISA口座で生じた譲渡損失は、損益通算することや、繰越控除することはできません。
Q. 非課税期間(最長5年間)が終了した場合はどうすればいい?
A. 上場株式等を保有したまま非課税期間が終了した場合には、①同一の非課税口座内の新たな非課税管理勘定に移管(移管時の時価で100万円まで)するか、②特定口座や一般口座に移管することができます。
Q. NISA口座で保有する上場株式の配当等について、非課税にするには手続が必要?
A. 上場株式の配当、ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の収益の分配について非課税の適用を受けるためには、受取方法として、株式数比例配分方式を選択している必要があります。