平成27年分 所得税の確定申告に係る主な注意点等
◆平成27年分の所得税から適用される主な改正事項
◎所得税率の最高税率の見直し
課税される所得金額4000万円超について、45%の税率を設けることとされました。
◎公的年金等に係る確定申告不要制度
公的年金等に係る確定申告不要制度について、源泉徴収の対象とならない公的年金等(外国において支払われる公的年金など)の支給を受ける方は、 この制度を適用できないこととされました。
◎国外転出時課税制度の創設
平成27年7月1日以後に国外転出(国内に住所及び居所を有しないこと)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産(有価証券等、未決済信用取引等 又は未決済デリバティブ取引)を所有当している場合、その対象資産の含み益に所得金額及び復興特別所得税が課されることとなりました。 また、平成27年7月1日以後に1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者から、国外に転居する親族等(非居住者)への贈与、相続又は遺贈に よりその対処資産の全部又は一部の移転があった場合、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課されることとなりました。
◎財産債務調書制度の創設
確定申告が必要な方で、その分の退職所得以外の各種所得の金額が2千万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の 財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出時課税制度の対象資産を有する方は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な 事項を記載した「財産債務調書」をその年の翌年の3月15日までに提出しなければならないこととされました。
◆申告の際に多い誤りや注意点など
◎国外所得の申告漏れ
居住者(非永住者以外の者)は、海外で得た所得(国外で支払われる預金等の利子や、国外ある不動産の貸付・譲渡による収益、国外の法人等に対する 出資に係わる収益など)を合わせて申告する必要があります(外国の税務当局に申告した所得も申告が必要)。
◎副収入の申告漏れ
インターネットによる副業などで得た所得についても合わせて申告する必要があります。
◎一時所得の申告漏れ
生命保険会社などから、満期金や一時金を受け取った場合は、その収入が一時所得として申告する必要がないか、生命保険会社などから送付された書類で 確認してください。
◎医療費控除の計算誤り
高額医療費、高額介護合算医療費、出産一時金や保険会社からの入院給付金などで補てんされる金額は、支払った医療費の額から差し引きます。
◎地震保険控除の適用誤り
平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等は、地震保険料控除が適用されます。
◎寡婦控除、寡夫控除の適用漏れ
寡婦、寡夫に該当する方は「寡婦控除」、「寡夫控除」が受けられます。
◎配偶者特別控除の適用誤り
合計所得金額が1000万円を超えている方は「配偶者特別控除」を受けることができません。
◎上場株式等に係わる譲渡損失の繰越控除の適用
売却がなかった年も、譲渡損を翌年へ繰り越すための申告が必要です。
◎e-Taxを利用した場合
源泉徴収票や医療費の領収書などの提出を省略できますが、法定申告期限から5年間は税務署から提出を求められることがあるので保管が必要です。
◎復興特別所得税の記載漏れ
特に手書きで申告書を作成する場合は、記載漏れにご注意ください。
◎ふるさと納税ワンストップ特例制度の対象外となる場合
ワンストップ特例(適用には申請が必要)は、平成27ねん4月以降に確定申告をしない給与所得者等が行ったふるさと納税(5団体以内)が対象となるので、 平成27年1月から3月までに行ったふるさと納税について控除を受ける方、5団体を超える自治体にふるさと納税を行った方、ふるさと納税の有無に係わらず 確定申告を行う方は、確定申告を行う必要があります。