平成28年1月から開始される主な税制は
◆給与所得控除の上限額の引下げ
平成28年分から給与収入が1200万円を超える場合における給与所得控除の上限額が230万円となる。
◆特定公社債等の取り扱い変更
平成28年1月1日以降、特定公社債等(国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債などの一定の公社債)や公募公社債投資信託等について、主に次の措置を講じられる。
・20%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を除く)の税率による申告分離課税の対象となる。
・上場株式等の配当所得及び譲渡所得等との損益通算が可能となる。
・特定公社債等の譲渡により生じた損失の金額のうち、その年に損益通算しても控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、繰越控除が可能となる。
・金融商品取引業者等に開設した特定口座に、当該特定口座を通じて取得した特定公社債等を受け入れることができる。
・特定口座のうち源泉徴収口座には、その金融商品取引業者等を通じて支払を受ける特定公社債等の利子・収益分配金を受け入れることができることとする。
◆NISAの年間投資上限額の引上げ
NISA口座による非課税投資限度額を年間120万円に引上げる。
◆ジュニアNISAの創設
・20歳未満の未成年者がNISA口座を開設できるジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)が創設され、平成28年1月から口座開設の受付を開始する(上場株式等の購入については平成28年4月から)。
・年間投資上限額は80万円で、運用や管理は原則として、親権者等が代理して行う。
・口座開設者が3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日まで払出し制限がある。
◆財産債務調書の提出 ・財産債務明細書について、
提出基準や記載事項などの見直しを行い、新たに「財産債務調書」として整備。
・提出基準については、「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、その年の12月31日において、「価額の合計額が3億円以上の財産を有すること」、又は「価額の合計額が1億円以上である国外転出特例対象財産(国外転出時課税制度の対象となる有価証券や未決済デリバティブ取引に係る権利など)を有すること」のいずれにも該当する場合で、その年の翌年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならない。
・記載事項については、財産の種類、数量及び価額のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等の記載が必要となる。
・平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されるため、最初の提出期限は平成28年3月15日となる。
◆国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
・給与等又は公的年金等の源泉徴収及び給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む)を源泉徴収義務者に提出又は提示しなければならないこととされ、平成28年分以後の所得税について適用される。
・確定申告においても、「親族関係書類」及び「送金関係書類」の添付等は必要となるが、源泉徴収や年末調整の際に添付等した書類については不要。
※「親族関係書類」とは、その国外居住親族がその居住者(納税者)の親族であることを証する一定の書類(戸籍の附票、その国外居住親族の旅券の写しなど)。
※「送金関係書類」とは、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにする一定の書類(金融機関の書類など)