平成28年4月から制度改正される小規模企業共済制度
小規模企業共済制度は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」により、以下のとおり改正されます。また、小規模企業共済制度の契約者貸付制度も拡充されます。施行日は平成28年4月1日の予定です。
◆一定の場合の共済事由を見直し
次の3つの場合について共済事由が見直しされ、受け取れる共済金額が増加します。
(1) 個人事業主が平成28年4月1日以降に、「配偶者又は子に事業の全部を譲渡した場合」の共済事由が「準共済事由」から「A共済事由」に引き上げられます。
(2) 共同経営者が平成28年4月1日以降に、「個人事業主の配偶者又は子への事業の全部譲渡に伴い、配偶者又は子へ事業(共同経営者の地位)の全部を譲渡した場合」の共済事由が「準共済事由」から「A共済事由」に引き上げられます。
(3) 会社等役員が平成28年4月1日以降に、会社等役員を退任(疾病・負傷・死亡・解散を除く)された場合で、会社等役員の退任日において65歳以上の場合の共済事由が「準共済事由」から「B共済事由」に引き上げられます。
◆分割共済金の支給回数の変更
共済金を分割(分割受給期間:10年または15年)で受け取る場合、年間の支給回数は年4回(2月、5月、8月、11月)でしたが、平成28年4月1日以降に共済金の分割受取りを希望した場合は、年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)の支給に変更になります。
※すでに共済金を分割で受給されている方は、年4回の支給のまま変更ありません。
◆共済金を受け取れる遺族の範囲拡大
平成28年4月1日以降に共済契約者が亡くなったことにより支給される共済金について、共済契約者の死亡当時、その収入によって生計を維持していなかった「ひ孫」、「甥・姪」にも、受給権が認められます(受給者順位は「ひ孫」が第13順位、「甥・姪」は第14順位)。
※共済金の請求は、受給権の順位が最も高い方が、共済金の請求をすることができます。
◆加入申込時の申込金が不要に
これまでは、加入申込時に掛金(申込金)を現金にて納付する必要がありましたが、平成28年4月1日以降は、従来からの「掛金を現金で納付する方法」に加えて、「加入申込時には現金納付せず、加入月の翌々月に掛金口座振替で納付する方法」を選べるようになります。
◆増額申込時の申込金が不要に
これまでは、掛金増額申込時に増額分(増額後の掛金月額-増額前の掛金月額)を「増額申込金」として現金で納付する必要がありましたが、平成28年4月1日以降は、増額時に現金納付がなくても申込みができるようになります。
◆掛金月額の減額手続きが簡易に
これまでは、掛金月額の減額は、「事業経営が著しく悪化している」などの理由がある場合に限り減額でき、このような理由があることを、委託機関(金融機関や商工会等)で確認してもらう必要がありましたが、平成28年4月1日以降に減額の手続きをする場合には、理由を問わず、契約者の希望に応じて減額ができます。
◆共同経営者が独立後も共済契約の継続が可能に
共同経営者の地位の方が、従事している個人事業主の事業の廃業を伴わずに共同経営者の地位を退任し、その後、自らが新たに個人事業を開業するなどして経営者の地位に就いた場合、これまでは、共済契約は解約扱いでしたが、共同経営者の地位を退任した後1年以内に新たに経営者の地位(個人・役員・共同経営者)となり加入要件を満たし、平成28年4月1日以降に「掛金納付月数の通算」の申出を行った場合は、契約を継続できるようになります。
◆掛金の滞納による共済契約の解除の取扱いが緩和
小規模共済制度では、共済契約者が12か月以上の掛金を滞納した場合、共済契約が解除されることとなっていますが、平成28年4月1日以降は、災害などやむを得ない理由により生じた掛金の滞納については、共済契約を継続できるようになります。
◆契約者貸付制度の拡充
事業の運転資金や設備資金など幅広い用途に利用できる「一般貸付け」の貸付限度額の上限が、これまでの1,000万円から、平成28年4月1日より2,000万円に引き上げられます。