平成28年分の年末調整における留意事項等
◆年末調整関係書類に係るマイナンバー(個人番号)の記載を不要とする見直し
平成28年度税制改正において、給与の支払者に対して提出する年末調整関係書類のうち、次に掲げる申告書については、平成28年4月1日以後に提出するものからマイナンバー(個人番号)の記載が不要とされました。
① 給与所得者の保険料控除申告書
② 給与所得者の配偶者特別控除申告書
③ 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
なお、給与の支払者が上記①から③の申告書を受理した際に、給与の支払者が個人である場合には、これらの申告書に自らのマイナンバー(個人番号)を付記する必要はありませんが、給与の支払者が法人である場合には法人番号を付記する必要があります。
※平成26年分の所得税の確定申告で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けた者については、税務署から個人番号欄のある「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申請書」が送付されていますが、マイナンバー(個人番号)を記載する必要はありません。
◆国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用
平成27年度税制改正において、平成28年1月1日以後に支払われる給与等の源泉徴収又は年末調整の際、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合には、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出又は提示することが必要となりました。
◎親族関係書類の提出又は提示
給与等の源泉徴収において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける給与所得者は、その適用を受ける旨を給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載(「非居住者である親族」欄に○印を付す等)した上で、その申告書に「親族関係書類」を添付して源泉徴収義務者に提出するか、又はその申告書の提出の際に「親族関係書類」を提示する必要があります。
※親族関係書類とは、国外居住親族がその給与所得者の親族であることを証するものをいい、①戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)のいずれかの書類です。
◎送金関係書類の提出又は提示
年末調整において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける給与所得者は、扶養控除等(異動)申告書の「生計を一にする事実」欄にその国外居住親族に対して送金等をした金額を記載した上で、その申告書に「送金関係書類」を添付して源泉徴収義務者に提出するか、又はその申告書の提出の際に、「送金関係書類」を提示する必要があります。
また、非居住者である配偶者に係る配偶者特別控除の適用を受ける給与所得者は、給与所得者の配偶者特別控除申告書にその旨を記載した上で、その申告書に「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付して源泉徴収義務者に提出するか、又はその申告書の提出の際に、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を提示する必要があります。
※送金関係書類とは、給与所得者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいい、① 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその給与所得者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類、又は② いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族が、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等によりその商品等の購入等の代金に相当する額をその給与所得者から受領したこと等を明らかにする書類です。
◆通勤手当の非課税限度額
平成28年度税制改正において、平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引き上げられました。
平成28年4月の改正前に支払われた通勤手当については、改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が行われていますが、改正後の非課税規定を適用した場合に過納となる税額は、本年の年末調整の際に精算する必要があります。