平成29年1月から適用開始となる主な制度(税制以外)
◆個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo(イデコ)」)の加入範囲拡大
自営業者や企業年金等に加入していない会社員に限定されていた加入対象が、平成29年1月1日から企業年金加入者、公務員等共済加入者、私学共済加入者、第3号被保険者(専業主婦等)についても対象となり、基本的に60歳未満の全ての方が加入できるようになります。
個人型確定拠出年金は、公的年金に上乗せして給付を受け取れる制度で、加入者が金融機関を選択して掛金を拠出し、その金融機関が提示する運用商品を自ら選び運用を行うため、将来の給付額は事前に確定しておらず、運用実績によって変動します。
掛金については、加入者の状況に応じた拠出限度額があり、第1号被保険者(自営業者等)は月額6.8万円、企業年金等に加入していない会社員は月額2.3万円が限度額ですが、新たな加入対象者の拠出限度額は以下のようになります。
・企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合) :月額2.0万円(年額24.0万円)
・企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合) :月額1.2万円(年額14.4万円)
・確定給付型企業年金のみ加入者及び公務員等共済加入者 :月額1.2万円(年額14.4万円)
・第3号被保険者 :月額2.3万円(年額27.6万円)
※国民年金保険料の免除を受けている方は原則加入できません。また企業型DC加入者の場合、事業主が企業型DC規約を変更しなければならないなど諸条件があります。
◆育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法の改正
妊娠・出産・育児期や家族の介護が必要な時期に、男女ともに離職することなく働き続けることができる社会の実現を目指し、以下のように雇用環境を整備します。
◎仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備
・対象家族1人につき3回を上限として、通算93日まで介護休業の分割取得を可能とする。
・介護休暇の半日単位の取得を可能とする。
・介護のための所定労働時間の短縮措置等を介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用を可能とする。
・所定外労働の免除を介護終了までの期間について請求することのできる権利として新設する。
・有期契約労働者の介護休業取得要件を、①当該事業主に引き続き雇用された期間が過去1年以上であること、②93日経過日から6ヵ月を経過する日までの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合は更新後のもの)が満了することが明らかでない者に緩和する。
◎多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の両立支援制度等の整備
・子の看護休暇の半日単位の取得を可能とする。
・有期契約労働者の育児休業の取得要件を、①当該事業主に引き続き雇用された期間が過去1年以上あること、②子が1歳6ヵ月に達する日までの間に労働契約が満了し、かつ、契約の更新がないことが明らかでない者に緩和する。
・育児休業制度等の対象に、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子その他これらに準ずる者を追加する。
◎妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら継続就業しようとする労働者の就業環境の整備
・妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚による就業環境を害する行為(いわゆるマタニティ・ハラスメント)を防止するため、雇用管理上必要な措置を事業主に義務づける。
◆雇用保険の適用対象の拡大
平成29年1月1日以降、適用要件に該当する65歳以上の労働者は「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。なお、保険料の徴収は、平成31年度までは免除となります。
◎適用要件に該当する65歳以上の労働者を雇用した場合の適用例
・平成29年1月1日以降に新たに雇用した場合⇒雇用した時点から高年齢被保険者となり、翌月10日までに管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
・平成28年12月末までに雇用し平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合⇒平成29年1月1日より高年齢被保険者となり、平成29年3月31日までに資格取得届を提出します。
・高年齢継続被保険者※である労働者を平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合⇒自動的に高年齢被保険者となりますので、届出は不要です。
※高年齢継続被保険者とは、65歳になる前から引き続き65歳以後も雇用されている被保険者