平成29年1月から開始となる主な税制
◆給与所得控除の上限額の引下げ
平成29年分から給与収入が1000万円を超える場合における給与所得控除の上限額が220万円となる。
◆セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の創設
健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組※を行う個人が、平成29年1月~平成33年12月までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定のスイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入し、年間の購入額が合計12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(上限88,000円)をその年分の総所得金額等から控除する。本制度と従来の医療費控除制度とは選択適用。
※一定の取組とは、特定健康診査(メタボ健診)、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診を受けていること。
◆国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
(1) 国税関係書類の読み取りを行う装置について、「原稿台と一体となったもの」に限定する要件を廃止し、デジタルカメラやスマートフォン等による読み取りも可能とする。
(2) 国税関係書類の受領者等が読み取りを行う場合には、次に掲げる事項を要件とする。
・その国税関係書類に署名した上で、受領後等、特に速やかにタイムスタンプを付さなければならない。
・その書類の大きさがA4以下である場合に限り、大きさに関する情報の保存を要しない。
・相互けん制要件について、受領等事務と読み取り事務をそれぞれ別の者が行うとする要件を不要とし、受領者等以外の別の者により国税関係書類に係る記録事項の確認を行うことを要件とする。
(3) 小規模企業者は、税理士等の税務代理人が定期的な検査を行うこととしている場合、相互けん制要件を不要とする。
上記は平成28年9月30日以後に行う承認申請について適用し、平成29年1月1日から開始(同制度は適用する3ヵ月前に税務署へ申請書を提出し、承認を受ける必要がある)。
◆加算税制度の見直し
(1) 調査の事前通知後、その調査により更正又は決定があることを予知する前に行われた修正申告は、その申告に基づいて納付すべき税額の5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)の過少申告加算税を課すこととし、期限後申告書(その修正申告書を含む)については、10%(50万円を超える部分は15%)の無申告加算税を課すこととする。
(2) 期限後申告や修正申告(更正予知によるものに限る)又は更正や決定等があった日の前日から過去5年間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されていた場合には、無申告加算税又は重加算税の割合に10%を加算する。
上記は平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用。
◆国税のクレジットカード納付制度の創設
国税の納付手続について、インターネット上でクレジットカードによる国税の納付ができる「国税クレジットカードお支払サイト」が開設され、平成29年1月4日以後の納付について適用。
クレジットカード納付は、申告所得税や法人税、消費税、贈与税などほぼ全ての国税が対象で、納付できる金額は1,000万円未満かつクレジットカードの決済可能額以下となり、納付税額に応じた決済手数料がかかる。支払方法は、一括・分割・リボ払いを選ぶことが可能。
◆マイナンバー(個人番号)の記載対象書類の見直し
(1) 税務関係書類(申告書及び調書等を除く)のうち、申告等の主たる手続と併せて提出又は申告等の後に関連して提出されると考えられる一定の書類(所得税の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書、納税の猶予申請書など)について、マイナンバーの記載を不要とする。平成29年1月1日以後に提出すべき書類について適用。
(2) 扶養控除等申告書について、給与等の支払者が扶養控除等申告書に記載されるべき従業員本人、控除対象配偶者又は控除対象扶養親族等の氏名及びマイナンバー等を記載した帳簿を備えている場合、その従業員が提出する扶養控除等申告書にはマイナンバーの記載を不要とする。平成29年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係る扶養控除等申告書について適用。