平成29年4月から適用開始となる主な税制(中小企業関連)
◆所得拡大促進税制の見直し
・中小企業については、一定要件を満たした上で、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加している場合は、税額控除(平成24年度からの給与等支給増加額の10%)について前年度からの給与等支給総額の増加額は12%上乗せし、22%とする。
・一定要件は、①給与等支給総額が平成24年度から一定割合(平成29 年度は3%)以上増加、②給与等支給総額が前事業年度以上、③平均給与等支給額が前事業年度を上回ること。
・平成29 年4月1日以後に開始する事業年度において適用。
◆中小企業経営強化税制の創設
・中小企業投資促進税制のうち、生産性の高い先進的な設備等を対象に即時償却又は税額控除ができる上乗せ措置を、中小企業等経営強化法の認定計画に基づく制度に改組し、創設。
・機械装置に加え、これまで上乗せ措置において対象外であった器具備品及び建物附属設備を対象設備に追加する。
・中小企業者等が中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき対象設備を新規取得し、指定事業の用に供した揚合、即時償却又は7%(資本金3千万円以下は10%)の税額控除が選択適用できる。
・平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等をする設備について適用。
※中小企業等経営強化法は、生産性向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」について、国から認定を受けることで税制や金融支援等の特例措置を受けることができる制度。
◆経営強化法に係る固定資産税の特例の見直し
・中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が取得する機械装置に係る固定資産税の特例措置(課税標準を3年間1/2に軽減)の対象設備に、地域・業種を限定した上で、 測定工具及び検査工具・器具備品・建物附属設備を追加。
・業種が限定される地域は、最低賃金が全国平均(823 円)以上の7 都府県(埼玉、干葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪)で、それ以外の40 道県は全業種が対象。
・機械装置については、引き続き全国・全業種が対象。
・平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得した対象資産について適用。
◆研究開発税制の見直し
・研究開発費(試験研究のための人件費や経費など)の一定割合を法人税額から控除する研究開発税制について、従来の控除率12%、控除上限を法人税額の25%とする仕組みを維持した上で、試験研究費が5%超増加した場合に控除率を最大17%、控除上限を35%とする。 試験研究費が5%超増加した場合に控除率を最大17%、控除上限を35%とする。
・支援対象にIoT、ビッグデータ、人工知能等を活用した第4 次産業革命のサービス関発のための試験研究に係る一定の費用を新たに追加。
・平成29 年4月1日以後に開始する事業年度において適用。
◆事業承継税制の見直し
・小規模企業に対する雇用維持要件(5年平均で8割)を緩和し、従業員5人未満の企業で従業員が1 人減った場合でも要件を満たすことが可能となる。
・相続時精算課税との併用を認め、贈与税の納税猶予の認定が取り消された場合のリスクを軽減。
・災害による資産の被害が大きい会社、従業員の多くが属する事業所が被災した会社、災害や主要取引先の倒産等により売上高が大幅に減少した一定の会社について、雇用確保要件等を緩和する。
・平成29 年1 月1 日以後の相続又は贈与について適用。
◆取引相場のない株式の評価の見直し
・類似業種の上場企業の株価を基に配当、利益、純資産を比較して算定する類似業種比準方式について、①類似業種の上場会社の株価は、課税時期の属する月以前2年間平均を加える、②類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額は、連結決算を反映させたものとする、③配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重は、1:1:1とする。
・評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
・平成29 年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用。