平成29年度税制改正大綱の概要(主な中小企業関連)
◆所得拡大促進税制の拡充
・雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(要件:①給与等支給額が平成24年度より3%以上増加、②給与等支給額が前年度以上に増加、③平均給与等支給額が前年度を超えて増加)について、中小企業者等は、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)とする。
◆中小企業経営強化税制の創設
・中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)について、次の中小企業経営強化税制として改組し、全ての器具備品及び建物附属設備を対象とする。
・青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産性等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで、特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、その特定経営力向上設備等の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却とその取得価額の7%(特定中小企業等にあっては10%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができる。
・「特定経営力向上設備等」とは、中小企業等経営強化法に規定する経営力向上設備等のうち経営力向上に著しく資する一定のもので、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたもの。
◆研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)の強化
・研究開発費(試験研究のための人件費や経費など)の一定割合(現行12%)を法人税額から控除する研究開発税制について、研究開発費の増加率が5%を超える場合には、試験研究費の増加に応じて控除割合を最大17%まで、控除上限を法人税額の35%まで上乗せする仕組みを新たに導入。2年間の時限措置。
・研究開発税制の支援対象に、IoT、ビックデータ、AI等を活用した「第4次産業革命型」のサービス開発を新たに追加。
◆中小企業向けの租税特別措置の要件の見直し
・法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置(中小法人等の法人税の軽減税率の特例、研究開発税制、所得拡大促進税制、中小企業投資促進税制、中小商業サービス活性化税制、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を停止する措置を講ずる。
・平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
◆取引相場のない株式の評価の見直し
・類似業種比準方式を見直し、①類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える、②類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする、③配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。
・評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
・平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用。
◆事業承継税制の見直し
・事業承継税制の雇用要件(5年間平均8割)について、従業員5人未満の企業が従業員1人減った場合でも適用を受けられるように見直す。また、被災や主要取引先の倒産等により売上が減少した場合には雇用要件を緩和する。
・相続時精算課税との併用を認め、贈与税の納税猶予取消時の納税額を相続税と同額とする。
・平成29年1月1日以後に相続等又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用。