平成29年分から「医療費控除に関する明細書」の添付義務化
◆医療費控除等の適用に関する改正の概要
医療費控除又は特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用を受ける者は、医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の添付又は提示に代えて、医療費の明細書又は医薬品購入費の明細書を確定申告書の提出の際に添付しなければならないこととする。
この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、当該適用に係る医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、これらの領収書の提示又は提出をしなければならない。
ただし、次に掲げる医療費の領収書については除く。
①確定申告書の提出の際に、医療保険者から交付を受けた医療費通知書※を医療費の明細書として添付した揚合における当該医療費通知書に係る医療費の領収書
②電子情報処理組織を使用して確定申告を行った際に、医療保険者から通知を受けた医療費通知情報でその医療保険者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを医療費の明細書として送信した場合における当該医療費通知情報に係る医療費の領収書
※医療費通知とは、医療保険者(健康保険組合等)が発行する「医療費のお知らせ」などで、①被保険者等の氏名、②療養を受けた年月、③療養を受けた者、④療養を受けた病院 ・診療所・薬局等の名称、⑤被保険者等が支払った医療費の額、⑥保険者等の名称が記載されたものです。医療費通知書を添付した場合は、明細の記入を省略できます。
上記の改正は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合について適用する。だだし、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書又は医薬品購入費の領収書の添付又は提示による医療費控除又はセルフメディケーション税制の適用もできることとする。
◆医療費控除の概要
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
「(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10 万円※】
※総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
◆セルフメディケーション税制の概要
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている方が平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費※を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除)を受けることができます。
なお、 セルフメディケーション税制は、従来の医療費控除との選択適用となります。また、選択した控除を更正の請求や修正申告において、変更することはできません。
※特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC 医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC 医薬品)の購入費をいい、控除の対象となる特定一般用医薬品等購入費は、領収書に対象となる旨が表示されています。
◎「一定の取組」とは
具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。なお、この特例の適用を受ける年分において一定の取組を行ったことを明らかにする書類(氏名、取組を行った年及び取組に係る事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限る)を確定申告書に添付等する必要があります。
①保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査(人間ドッグ、各種健(検)診等)
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)③予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
④勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診