今年度第2次補正予算等により更なる拡充が実施される雇用調整助成金
◆雇用調整助成金の特例措置の概要
新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金の特例措置は、新型コロナウイルスにより事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するもので、多くの拡充措置などが実施されています。
令和2年度第2次補正予算等の成立により、助成額の上限額の引上げなど更なる拡充が行われます。
◆「助成額の上限額の引上げ」及び「中小企業の助成率の拡充」
次の(1)及び(2)の措置は、令和2年4月1日に遡って適用されます。令和2年4月1日から9月30日までの期間を1日でも含む判定基礎期間(賃金締切期間)※が対象です。※休業の実績を判定する1ヵ月単位の期間を「判定基礎期間」といい、原則として毎月の賃金の締め切り日の翌日から、次の締め切り日までの期間です。ただし、毎月の賃金の締め切り日が特定されない場合などは暦月とします。
(1)助成額の上限額の引上げ
雇用調整助成金の1人1日あたりの助成額の上限額は8,330円となっていましたが、企業規模を問わず上限額を「15,000円」に引上げます。
(2)解雇等を行わない中小企業の助成率の拡充
解雇等を行わずに雇用を維持している※中小企業の休業等に対する助成率は、原則9/10(一定の要件を満たす場合に10/10)となっていましたが、この助成率を「一律10/10」に引上げます。
※「解雇等を行わずに雇用を維持している」とは、次の①、②のいずれも満たす場合です。
①令和2年1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までに、*期間の定めのない労働者に対して、事業主都合による解雇をしていないこと、*期間の定めのある労働者に対して、解雇
と見なされる労働者の雇止め、事業主都合による中途契約解除をしていないこと、*派遣労働者に対して、契約期間満了前の事業主都合による契約解除をしていないこと。
②雇用されている労働者(雇用保険未加入者を含む)及び派遣労働者の数が、令和2年1月24日から判定基礎期間の末日までの各月末における事業所労働者数の平均の4/5以上であること。
(3)遡及適用による追加支給について
上記(1)及び(2)は、既に支給決定された事業主などにも令和2年4月1日に弱って適用され、既に支給された分について、従前の上限額(8,330円)を超える場合や、解雇等をしていない中小企業で助成率引上げの対象になる場合などは、追加支給分(差額)が発生します。追加支給分が発生する場合の対応は次のとおりです。
◎既に支給決定された事業主
労働局・ハローワークが既に支給した額との差額(追加支給分)を算定し、令和2年7月以降に順次支給します。追加支給の手続きは「不要」です。
◎既に支給申請はしているが、支給決定されていない事業主
労働局・ハローワークで算定しなおし、差額(追加支給分)を含めて支給します(審査状況によっては7月以降に支給)。手続きは「不要」です。
◎上限額引上げに伴い、遡って休業手当を見直し、従業員に追加で増額分を支給した事業主
休業手当の増額分について再度申請が必要です。この場合は、令和2年9月30日までに専用の再申請書とともに必要書類を添付して、管轄の労働局・ハローワークに提出します。
◆緊急対応期間の延長
これまで令和2年4月1日から同年6月30日までを緊急対応期間として、各種の特例措置が講じられてきましたが、緊急対応期間の終期を3ヵ月延長し、「令和2年9月30日まで」とします。また、これまでの拡充措置の適用も延長されます。
◆出向の特例措置
雇用調整助成金の支給対象となる出向は、出向期間が「3ヵ月以上1年以内」とされていましたが、「1ヵ月以上1年以内」に緩和されます。この措置は、緊急対応期間(令和2年4月1日から同年9月30日まで)に開始する出向に適用されます。