令和2年分の所得税の確定申告に関する注意点等
◆確定申告期間の延長について
令和2年分の所得税等の申告・納付期限は、令和3年4月15日に延長となりました。これに伴い、振替納税の振替日も延長となり、申告所得税は令和3年5月31日が振替日となります。
なお、申告所得税の振替日が延納※期限(令和3年5月31日)と同一日となるため、確定申告書に延納届出額を記載した場合であっても、確定申告に基づき納付する税額の全額を一括して振替納税による口座引落しを行うこととなります。
※申告所得税の延納は、確定申告により納付する税額の1/2以上を期限内(振替納税利用の場合は振替日)に納付することで、残りの税額の納付を同年5月31日に延長できる制度。
◆申告の際に多い誤りや注意点等
◎基礎控除の適用誤り
・令和2年分から合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除額は48万円です。
・合計所得金額が2,400万円超2,500万円未満の場合は控除額が逓減し、2,500万円を超える場合は基礎控除の適用は受けられません。
◎医療費控除の計算誤り
・入院給付金や高額療養費などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として、支払った医療費の額から差し引きます。
・健康保険組合等が発行する医療費通知(医療費のお知らせなど)を添付した場合は、明細書の記入を省略できますが、医療費通知に記載されてない医療費(自由診療や、医療費通知への反映が間に合わない期間の医療費など)がある場合は、領収書を基に明細書に記入します。
・e-Taxで申告する場合でも書面の医療費通知は、別途郵送等で提出する必要があります。
◎寄附金控除の適用漏れ
・ふるさと納税ワンストップ特例を申請している方でも、確定申告をする場合や寄附先が5団体を超える場合は、特例が適用されないため、全てのふるさと納税を含めて計算します。
・新型コロナの影響で中止等された一定のイベント(文部科学大臣の指定を受けたもの)について、チケット等の払戻しを放棄して主催者に寄附する場合、放棄した払戻額(20万円が上限)は寄附金控除の対象となります。申告の際、主催者から発行された証明書の添付が必要です。
◎住宅ローン控除の適用誤り
・住宅取得等資金の贈与について贈与税の非課税特例の適用を受けている場合には、住宅ローン控除額の計算において、その特例を受けた金額を住宅の購入金額から差し引いて計算します。
・入居した年分及びその年の前2年・後3年(令和2年3月31日以前に従前の住宅等を譲渡した場合は前後2年)の間に、居住用財産を売却等して譲渡所得の課税の特例※を受けた場合は、住宅ローン控除の適用を受けることができません。
※譲渡所得の課税の特例とは、①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例、②居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円の特別控除)、③特定の居住用財産の買換え等の特例、④既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の特例をいいます。
◎ひとり親控除、寡婦控除の適用漏れ
・令和2年分から創設された「ひとり親控除」は、婚姻歴や性別にかかわらず、現に婚姻をしていない者のうち合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子を有するなどの要件を満たす場合が対象となります。
・ひとり親控除の対象とならない寡婦も、合計所得金額が500万円以下の場合が対象となります。
◎副収入等の申告漏れ
・年末調整が済んでいる給与所得者であっても、ネットオークションやフリマアプリなどを利用した個人取引や、ブログなどの広告収入、飲食の配達など役務の提供による収入、暗号資産(ビットコインなど)の売却などで、給与所得以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
・生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税です。
◎一時所得の申告漏れ
・生命保険会社などから満期金や一時金を受け取った場合は、その収入が一時所得として申告する必要がないか、生命保険会社などから送付された書類で確認します。
◎国外所得の申告漏れ
・居住者(非永住者以外の者)は、海外で得た所得(国外で支払われる預金等の利子や、国外にある不動産の貸付
・譲渡による収益など)を合わせて申告する必要があります。