令和3年度税制改正に向けた各府省庁の主な要望事項
◆研究開発税制の拡充・延長(経産省、内閣府、総務省、厚労省、国交省など)
・試験研究を行った場合の税額控除について、適用期限を2年間延長し、以下のとおり拡充する。
・総額型及び中小企業技術基盤強化税制の控除上限の引上げ。
クラウド環境で提供するソフトウェアに係る試験研究費を控除の対象に加える。
・オープンイノベーション型の手続の合理化等の見直し、など。
◆中小企業による経営資源集約化の促進に係る税制措置の創設(経産省、厚労省、国交省など)
ウィズコロナ・ポストコロナ社会に向けて、地域経済・雇用を担おうとする中小企業による経営資源の集約化等(統合・事業再構築等)を後押しするために必要な措置を創設する。
◆中小企業の設備投資を支援する税制措置の延長(経産省、総務省、厚労省など)
特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(中小企業経営強化税制)、一定の機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除(中小企業投資促進税制)、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)、いずれも令和2年度末までの適用期限を2年間延長する。
◆大企業向け賃上げ税制と、所得拡大促進税制の延長・見直し(経産省)
・大企業向け賃上げ税制について、設備投資要件ではなく、多様な人材投資(外部人材の獲得や、社内人材の育成・学び直し等)に着目した見直しを行い、適用期限を2年間延長する。
・中小企業向けの所得拡大促進税制について、新型コロナウイルスにより経営環境が悪化し、賃上げはおろか雇用の維持への懸念も広がっている状況を踏まえ、適用要件を賃上げに限定せず、従業員への給与等支給総額の拡大等に着目して支援する制度に見直し、適用期限を2年間延長する。
◆自社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置の創設(経産省)
改正会社法(令和3年春施行予定)により「株式交付制度」が創設されたことを踏まえ、自社株式等を対価としたM&Aにおける被買収会社株主の株式譲渡益に対する課税繰延を措置する。
◆中小企業防災・減災投資促進税制の拡充・延長(経産省)
中小企業の自然災害等への事前対策を強化するため、実行性のある防災・減災対策のための設備投資に対する特別償却の対象設備について、重要設備のかさ上げに用いる架台や、停電時の電力供
給装置等を追加した上で、適用期限を2年間延長する。
◆事業承継税制の見直し(経産省、厚労省、金融庁)
・非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度について、法人版は中小企業経営者が高齢化している現状を踏まえ、後継者の役員要件の見直しを行う。
・個人版については、対象となる特定事業用資産の見直しを行う。
◆土地に係る固定資産税の負担調整措置等の延長と経済状況に応じた措置(国交省、経産省)
土地(商業地等)に係る固定資産税について、3年に一度の固定資産評価替えによる負担調整措置等を3年間延長するとともに、新型コロナウイルスの影響に応じた所要の措置を講じる。
◆セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の延長・拡充(厚労省)
・健康増進及び疾病予防への一定の取組を行う個人がスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合の所得控除制度について、適用期限を5年延長するとともに、以下のとおり拡充を行う。
・対象医薬品の範囲に、非スイッチOTC医薬品のうち治療又は療養に使用されるものを加える。
・購入費から差し引く下限額を引き下げ、控除額の上限を10万円に引上げる。
・煩雑な手続きが本税制の利用を妨げているため、手続きを簡素化する。
◆交際費課税の特例措置の拡充(厚労省、農水省)
飲食費の50%を損金算入できる特例措置について、新型コロナの感染予防対策を講じた上で提供された飲食費(社内接待費を除く)は損金算入できる割合を時限的に拡充する。
◆金融所得課税の一体化(金融庁、経産省、農水省)
証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所が令和2年7月に実現したことを踏まえ、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大する。
◆生命保険料控除制度の拡充(金融庁)
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の各保険料控除の限度額を所得税5万円、地方税3.5万円とし、所得税の保険料控除の合計適用限度額を15万円とする。
◆教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長(文科省、金融庁)
祖父母等(受贈者の直系尊属)が30歳未満の子・孫に対して教育資金を一括贈与した場合の贈与税の非課税措置について、令和3年3月31日までの時限措置であることから延長を行う。