平成30年4月から本格化する「無期転換ルール」
◆「無期転換ルール」の概要
無期転換ルールとは、平成25年4月1日以降に関始した有期労働契約について、同一の使用者との間で、契約が更新されて5年を超えた有期契約労働者※が、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)への申込みをした場合、事業主は当該申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約へ転換されるルールです。
契約期間が1年の場合は5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合は1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。
※契約期間に定めがある労働者で、契約社員やパートタイマー、派遣社員などの名称は問いません。なお、派遣社員の場合は、派遺元の企業に無期転換への対応が求められます。
◆通算契約期間のカウント
通算契約期間の力ウントは、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象です。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間には含まれません。
平成25年4月1日をまたいだ有期労働契約については、例えば、平成24年6月1日から1 年更新を繰り返している場合、平成24年6月1日~平成25年5月31日の契約期間は力ウントされず、平成25年6月1日に開始した有期労働契約を起点に力ウントします。
◎クーリングについて
同一の使用者との間で有期労働契約を締結していない期間(退職し、労働契約のない期間=「無契約期間」)が、一定以上続いた場合、それ以前の契約期間は通算対象から除外されます。
*無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合は、無契約期間が6ヶ月以上続くと、その期間より前の有期労働契約は通算契約期間から除外されます。
*無契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合は、無契約期間が「それ以前の通算契約期間÷2」以上続くと、その期間より前の有期労働契約は通算契約期間から除外されます。
◆無期転換の申込みがあった場合
無期転換の申込みがあった揚合、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から、無期労働契約となります。
例えば、平成25年4月1日に開始した有期労働契約を反復更新して、平成30年3月31日に通算5年となる労働者が、平成30年4月1日から1年間の有期労働契約を締結し、この契約期間中に無期転換の申込みを行った場合、平成31年4月1日から無期労働契約となります。
◆無期転換後の労働条件
無期転換ルールによって、契約期間は無期に転換されますが、無期転換後の給与などの労働条件は、就業規則等で別段の定めがある郡分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件となります。
したがって、無期労働契約に転換された労働者に対して、どのような労働条件を適用するかを検討した上で、別段の定めをする場合には、適用する就業規則にその旨を規定する必要があります。また、特に定年など、有期契約労働者には通常定められていない労働条件を適用する必要がある場台には、適切に設定の上、あらかじめ明確化しておく必要があります。
なお、無期への転換方法には、主に次の3タイプがあります。
①雇用期間の変更:契約期間のみを変更する転換です。労働契約の中では、「契約期間」を「期間の定めがないもの」とすることで足ります。 なお、定年制を定めることは認められます。
②多様な正社員への転換:勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員への転換です。働き方に制約がある社員が働き続けやすいなどのメリットがあります。
③正社員への転換:業務内容に制約がなく、入社後定年に達するまで勤務することを想定した、いわゆる「正社員」への転換です。
◆無期転換ルールの特例
通常は、有期労働契約が通算5年を超えた場合に無期転換申込権が発生しますが、有期雇用特別措置法による特例によって、次のような揚合は、無期転換申込権が発生しないこととされています。なお、この特例を受けるためには、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。
*専門的知識等を持つ有期雇用労働者が、一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限:10年)
*定年後、引き続き雇用される有期雇用労働者が、定年後、引き続き雇用されている期間