平成30年4月から変わる信用保証制度の概要
第193回通常国会において成立した「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律」について、改正法の施行期日を定める政令及び改正法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令が閣議決定され、平成30年4月1日より施行されます。
◆改正による措置の概要
◎危機関連保証の創設
大規模な経済危機、災害等の事態に際し、予め適用期限を区切って迅速に発動できる新たなセーフティネットとして、危機関連保証を創設(従来の保証限度額とは別枠で最大2.8億円の保証)。本措置は、原則1年以内と予め期限を区切って実施(経済産業大臣が認める場合には、更に1年の延長可能)。
◎小規模事業者への支援拡充
小規模事業者の持続的発展を支えるため、小規模事業者向けの100%保証である特別小口保険に係る保証と小口零細企業保証について、保証限度額を拡充(1250万円→2000万円)。
◎創業関連保証の拡充
創業チャレンジを促し、創業者が手元資金なしで保証が受けられて、事業を継続できるよう創業関連保証(100%保証)の保証限度額を拡充(1000万円→2000万円)。
◎特定経営承継関連保証の創設
後継者個人による株式購入費用や、事業承継に伴い発生する多額の相続税や贈与税に対しては、実質的に信用保証を受けることが出来なかった実態を踏まえ、法の認定を受けた中小企業の代表者個人が承継時に必要とする資金を信用保証の対象とする。
◎経営改善・事業再生の促進、再チャレンジ支援等
経営改善・事業再生を促す保証メニューを充実させるとともに、抜本再生の円滑化(求償権放棄条例の整備等)を進め、信用保証協会も経営支援を実施すべく機能強化を図る。また、経営者保証ガイドラインの運用開始から一定期間が経過し、保証制度における運用を見直すこと等により、失敗した場合にも再チャレンジしやすく、思い切った設備投資・事業拡大ができる環境を整備する。
◎円滑な撤退支援
経営者が撤退を決断する場合にまず必要となる資金(買掛金決済、原状復帰費用等のつなぎ資金)の調達が円滑に行えるよう、自主廃業支援保証(保証限度額3000万円)を創設する。
◎信用保証協会における出資ファンドの対象拡大等
信用保証協会が地方創生に一層の貢献を果たすべく、地域の資金需要に応えるための保証メニューの拡充(検討中)に加え、再生ファンド以外のファンドに対しても出資ができるようにする。
◎セーフティネット保証5号の保証割合の引下げ
中小企業の経営改善や事業転換等を一層促していくことにつながるよう、不況業種を対象としたセーフティネット保証5号の保証割合を100%から80%に変更する(「別枠」はそのまま)。
なお、この保証割合の変更は、平成30年4月1日以降に保証申込の受付がされた融資に対して適用される(同年3月31日以前に保証申込の受付がされた融資の保証割合は、引き続き100%)。
◎信用保証協会と金融機関の連携
信用保証協会と金融機関との連携を法律上に位置づけ、中小企業のそれぞれの実態に応じて、プロパー融資(信用保証なしの融資)と信用保証付き融資を適切に組み合わせ、信用保証協会と金融機関が柔軟にリスク分担を行っていくべく、信用保証協会と金融機関との間で更なる連携を図る。また、実効性を担保するため、信用保証協会向けの監督指針にもリスク分担について明記し、各信用保証協会・各金融機関のプロパー融資の状況等について情報開示(見える化)を行うとともに、今般の改正趣旨が現場レベルで浸透しているかという視点からのモニタリングを行う。
◎信用保証協会における経営支援
中小企業に対する経営支援業務を信用保証協会の業務として法律上に明記し、信用保証協会の経営支援の取組を着実に進める。また、仮にメインバンクが十分な融資を行えない場合には信用保証協会が他の金融機関を紹介するといった取組や、中小企業支援機関に資金繰りの相談がなされた場合には速やかに信用保証協会等に繋ぐといった取組など、信用保証協会と中小企業支援機関の連携による相談体制の強化を行う。