平成30年6月に施行される主な制度等の概要
◆日本版「司法取引制度」(平成30年6月1日施行)
・特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪について、被疑者・被告人が共犯者等の「他人の刑事事件」の解明に資する供述をし、証拠を提出するなどの協力行為を行った場合、その見返りに刑事責任の減免を受ける制度が新たに導入されます。
・取引の協議は検察官と容疑者・被告及びその弁護人との間で行い、合意には弁護土の同意も必要です。
・虚偽の供述をし、又は偽造・変造の証拠を提出した場合は、処罰の対象となります。
・対象となる犯罪は、*刑法の一定の犯罪(贈収賄、詐欺など)、*組織犯罪処罰法の一定の犯罪(組織的詐欺など)、*薬物銃器犯罪、*租税に関する法律の罪(脱税など)、*独占禁止法違反(談合、価格力ルテルなど)、*金融商品取引法違反(粉飾決算、インサイダー取引など)、*特許法違反(特許権侵害など)、*貸金業法違反(無登録営業など)、*破産法(詐欺破産など)、*会社法違反(特別背任など)。
◆改正割賦販売法(平成30年6月1日施行)
・近年、クレジットカードを取り扱う加盟店におけるクレジットカード番号等の漏えい事件や不正使用被害が増加している状況を踏まえ、以下の措置等を実施します。
・加盟店に対しクレジットカード番号等を取り扱うことを認める契約を締結する事業者(アクワイアラー(加盟店契約会社)等)について登録制度を創設するとともに、加盟店によるセキュリティ対策の実施状況を確認するための調査を実施することを義務付けます。
・クレジットカードを取り扱う加盟店に対し、*カード情報保護について適切な保護措置をとること(非保持化又はPCIDSS※準拠)、*不正使用対策として、対面取引ではIC カード決済が可能な端末を設置する、ネット取引ではなりすましによる不正使用防止対策(パスワードの入力等により本人が利用していることを確認できる仕組みや申込者の過去の取引情報などから不正な取引かどうかを判定する手法の導入等)を義務付けます。
※PCIDSSとは、クレジットカード会員データを安全に取り扱う事を目的として策定された国際ブランドが策定した基準。
◆「医療広告ガイドライン」の改定(平成30年6月1日施行)
・美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数の増加等を踏まえ、医療機関のウェブサイト等を適正化することなどを目的に「医療広告ガイドライン」が改定されます(「医療機関ホームページガイドライン」は廃止し、「医療広告ガイドライン」として統合)。
・医療機関のウェブサイト等についても、他の広告媒体と同様に規制の対象とし、虚偽又は誇大等の表示を禁止し、是正命令や罰則等の対象とします。
・ただし、患者が知りたい情報(自由診療等)が得られなくなるとの懸念等を踏まえ、一定条件の下、広告等可能事項の限定を解除できる場合を設けます。
◆生産性向上特別措置法(平成30年6月6日施行)
・同法に基づく「先端設備等導入計画」について、市町村の認定を受けた中小企業が取得する先端設備等については、固定資産税の課税標準を3年間ゼロ~1/2(市町村の条例で定める割合)に軽減する特例措置が実施されます。
・特例措置は、各市町村の判断により実施の有無や、軽減割合(特例率)を定めることになっており、実施されるためには、同法施行後に各市町村による「導入促進基本計画」の策定や、特例率を定める条例の制定等が必要です。
・設備の取得時期については、計画の認定後に取得することが必須です。
◆住宅宿泊事業法(平成30年6月15日施行)
・いわゆる民泊サービスの健全な普及を図るため、民泊新法では、住宅宿泊事業者に対して、次のようなルールを定めています。
・住宅宿泊事業を行おうとする者は、都道府県知事等への届出が必要です。
・民泊サービスを提供できる日数は年間180日(泊)が上限です(条例で実施期間の制限がされている場合もある)。
・住宅民泊事業の適正な遂行のための措置(衛生確保措置、宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等)を義務付けます。