平成30事務年度における所得税調査等の状況
◆所得税の調査等の状況
◎調査件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況
・実地調査の件数は、特別調査・一般調査(※1)が5万件(前事務年度5万件)、着眼調査(※2)が2万3千件(同2万3千件)であり、簡易な接触(※3)の件数は53万7千件(同55万件)となっています。
・これらの調査等の合計件数は61万1千件(同62万3千件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は37万4千件(同38万4千件)となっています。
※1実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。
※2実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。
※3簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。
◎申告漏れ所得金額の状況
・実地調査による申告漏れ、所得金額は、6,024億円(前事務年度5,894億円、1件当たり819万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは5,236億円(同5,080億円、同1,045万円)、着眼調査によるものは788億円(同814億円、同336万円)となっています。
・また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3,017億円(同3,143億円、同56万円)となっており、調査等合計では9,041億円(同9,038億円、同148万円)となっています。
◎追徴税額の状況・実地調査による追徴税額は、961億円(前事務年度947億円、1件当たり131万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは903億円(同887億円、同180万円)、着眼調査によるものは59億円(同60億円、同25万円)となっています。
・また、簡易な接触による追徴税額は233億円(同249億円、同4万円)となっており、調査等合計では1,195億円(同1,196億円、同20万円)となっています。
◎譲渡所得の調査等の状況
所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数は2万1千件(前事務年度2万4千件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は1万6千件(同1万8千件)、申告漏れ所得金額は1,526億円(同1,482億円、1件当たり734万円)となっています。
◎「富裕層」に対する調査状況
有価証券・不動産等の大口所有者などの「富裕層」に対して、実地調査(特別・一般)を5,313件実施し、申告漏れ所得金額は763億円(1件当たり1,436万円)となっています。
◎海外投資等を行っている個人の調査状況
海外投資や海外資産を保有している個人などに対して、実地調査(特別・一般)を4,375件実施し、申告漏れ所得金額は849億円(1件当たり1,941万円)となっています。
◎インターネット取引を行っている個人の調査状況
シェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動をはじめ、インターネット取引を行っている個人に対して、実地調査(特別・一般)を2,127件実施し、申告漏れ所得金額は264億円(1件当たり1,243万円)となっています。
◎所得税無申告者に対する調査状況
無申告者に対して、実地調査(特別・一般)を8,147件実施し、告漏れ所得金額は1,658億円(1件当たり1,045万円)となっています。
◆税務当局による事業者等への情報照会手続の整備(令和元年度税制改正)
1.現行実務で行われている事業者等への任意の照会について、法令上、国税当局が事業者等に対して協力を求めることができる旨を明確化します。
2.高額、悪質な無申告者等を特定するため、特定取引者の国税について、更正決定等をすべきこととなる相当程度の可能性があり、他の方法による情報の収集が困難である場合に限り、事業者等に対して情報照会(特定取引者の氏名又は名称、住所又は居所、個人番号又は法人番号)を行うことができることとします。なお、事業者等が不服申立てを行うことも可能です。
※令和2年(2020年)1月1日以後に行う協力又は報告の求めについて適用。