令和3年10月から適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請開始
◆適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要
・令和5年10月1日から、仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が導入されることにより、区分記載請求害等保存方式における請求書等の保存に代えて、「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となります。また、適格請求書発行事業者は、適格請求書を交付することが困難な一定の場合を除き、取引の相手方である課税事業者から求められた場合、適格請求書等の交付及び写しの保存が義務付けられます。
・適格請求書(インボイス)は、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるためのもので、具体的には、現行の区分記載請求書の記載事項に加えて、「適格請求書発行事業者登録番号」、「適用税率」及び「税率ごとに区分した消費税額等」が記載されている請求書等であり、適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。
・適格請求書発行事業者になるためには、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があり、令和3年10月1日から登録申請書の受付が始まります。
・なお、インボイス制度の導入により、適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者、登録を受けていない課税事業者、消費者)からの課税仕入れは適格請求書の交付を受けることができないため仕入税額控除を行うことができませんが、制度導入後6年間(令和5年10月~令和11年9月までの間)は、仕入税額相当額の一定割合(令和5年10月~令和8年9月は80%、令和8年10月~令和11年9月は50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。
◆適格請求書発行事業者の登録手続
適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者(登録を受けることができるのは課税事業者に限る)は、冷和3年10月1日から登録申請書を提出することができます。インボイス制度が導入される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として、令和5年3月31日(困難な事情がある場合には令和5年9月30日)までに登録申請書を提出する必要があります。登録申請書等の様式は「インボイス制度特設サイト」で公開されており、e-Taxや郵送等により提出できます(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能)。郵送等で提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。
なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となる必要がありますが、登録日が令和5年10月1日の属する課税期間中である場合は、課税選択届出書を提出しなくても、登録を受けることができます。
◆適格請求書発行事業者公表サイトにおける公表事項
登録を受けた適格請求書発行事業者の情報は、国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」(令和3年10月運用開始予定)において公表されます。
法定の公表事項は、①適格請求書発行事業者の氏名(※)又は名称、②法人(人格のない社団等を除く)については、本店又は主たる事務所の所在地、③特定国外事業者(国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者)以外の国外事業者については、国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地、④登録番号、⑤登録年月日、⑥登録取消年月日、登録失効年月日です。
※個人事業者の氏名について、「住民票に併記されている外国人の通称」又は「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を氏名として公表することを希望、又はこれらを氏名と併記して公表することを希望する場合は、登録申請書と併せて「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出します。
◆適格請求書発行事業者の登録は任意
適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られますが、適格請求書発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意です。ただし、登録を受けなければ、適格請求書を交付することができないため、取引先が仕入税額控除を行うことができません。
また、適格請求書発行事業者は、販売する商品に軽減税率対象品目があるか引の相手方(課税事業者に限る)から交付を求められたときには、適格請求書を交付しなければなりません。一方で、消費者や免税事業者など、課税事業者以外の者に対する交付義務はありませんので、例えば、顧客が消費者のみの場合には、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません。
このような点も踏まえて、登録の必要性を検討します。