令和3年度税制改正大綱の概要(主な中小企業関連)
◆中小企業投資促進税制の延長・見直し
次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(1)対象となる指定事業に、*不動産業、*物品賃貸業、*料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)を加える。
(2)対象となる法人に商店街振興組合を加える。
(3)対象資産から匿名組合契約等の目的である事業の用に供するものを除外する。
◆中小企業経営強化税制の延長・見直し
中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象に計画終了年度に修正ROA(総資産利益率)又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたもの)を実施するために必要不可欠な設備を加えた上、その適用期限を2年延長する。
◆商業・サービス業・農林水産業活性化税制の廃止
特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
◆中小企業防災・減災投資促進税制の延長・見直し
特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について、次の措置を講ずる。
(1)対象法人を令和5年3月31日までに事業継続力強化計画等の認定を受けた中小企業者等とし、対象資産を認定を受けた日から1年以内に取得等をして、事業の用に供する資産とする。
(2)対象資産に*架台(対象資産のかさ上げのため取得等をするもの)及び無停電電源装置、*感染症対策のために取得等をするサーモグラフィ、*資本的支出により取得等をする資産を加える。
(3)対象資産から*火災報知器、スプリンクラー、消火設備、排煙設備及び防火シャッター、*資産の取得等に充てるための補助金等の交付を受けて取得等をするものを除外する。
◆中小企業における所得拡大促進税制の延長・見直し
次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(1)適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることを、「雇用者給与等支給額」に対する増加割合が1.5%以上であることに見直す。
(2)税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることを、「雇用者給与等支給額」に対する増加割合が2.5%以上であることに見直す。
◆事業承継税制の特例制度の要件緩和
非上場株式等に係る相続税の納税猶予の特例制度について、後継者が被相続人の相続開始の直前において特例認定承継会社の役員でないときであっても、1被相続人が70歳未満(現行:60歳未満)で死亡した場合、2後継者が特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合には、本制度の適用を受けることができることとする(1については、一般制度についても同様)。
◆個人版事業承継税制の対象資産の拡大
個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、対象となる特定事業用資産に、被相続人又は贈与者の事業の用に供されていた乗用自動車で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているもの(取得価額500万円以下の部分に対応する部分に限る)を加える。
◆中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
中小企業等経営強化法の改正を前提に、同法の改正法の施行日から令和6年3月31日までの間に経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたもの)の認定を受けた中小企業者が、計画に従って他の法人の株式等の取得(購入に限る)をし、かつ、その取得日を含む事業年度終了日まで引き続き有している場合(株式等の取得価額が10億円を超える場合を除く)において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その事業年度において損金算入を認める。
◆土地に係る固定資産税等の経済状況に応じた措置
令和3年度は、3年に一度の評価替えが行われる年となるが、現行の負担調整措置等を3年間延長間した上で、新型コロナウイルスの影響を踏まえて、評価替えの結果、課税額が上昇する全ての土地について、令和3年度に限り前年度の税額に据置く。
◆同族会社が発行した社債の利子及び償還金の課税見直し
同族会社が発行した社債の利子や償還金で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人及びその親族等が支払を受けるものを、総合課税の対象とする。