令和3年分の年末調整のポイント
◆主な変更点
税務署長等に提出する源泉所得税関係書類について押印が不要とされたため、扶養控除等(異動)申告書などの年末調整の際に使用する書類も押印は必要はありません。
◆年末調整の対象者
年末調整の対象者は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しており、1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者も含む)です。ただし、1年間の給与総額が2,000万円を超える人や、災害減免法の規定によりその年の給与に対する所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人は除きます。
◆扶養控除等(異動)申告書
原則として、その年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに勤務先(2か所以上から給与の支払を受けている人は、主たる給与の支払を受けている勤務先)に提出することになっており、年の中途で控除対象扶養親族の数などに異動があった場合には、その都度異動申告をします。
【ポイント】
・控除対象扶養親族、障害者などに該当するかどうかは、年末調整を行う日の現況で判定します。
・判定の要素となる合計所得金額は年末調整を行う日の現況により見積もった本年1月から12月までの合計所得金額によって判定し、年齢は本年12月31日の現況により判定します。本人やその親族が年の中途で死亡したり、本人が年の中途で出国して非居住者となる場合には、その死亡又は出国の時の現況により判定することになります。
◆基礎控除申告書
基礎控除は合計所得金額が2,500万円以下である場合が対象となり、合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円の控除、2,400万円を超える場合は控除額が逓減します。
年末調整で基礎控除の適用を受ける場合は、基礎控除申告書を提出する必要があります。
◆配偶者控除等申告書
配偶者控除は、合計所得金額が1,000万円以下で、本人と生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合が対象となり、本人の合計所得金額に応じて38万円(配偶者が70歳以上の場合は48万円)を限度に控除が受けられます。また、配偶者特別控除は、合計所得金額が1,000万円以下で、本人と生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合が対象となり、本人と配偶者の合計所得金額に応じて38万円を限度に控除が受けられます。
年末調整で配偶者控除等を適用する場合は、配偶者控除等申告書を提出する必要があります。
【ポイント】
・配偶者控除と配偶者特別控除を併用して控除の適用を受けることはできません。
・配偶者であっても、他の所得者の扶養親族とされる人、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となりません。
◆所得金額調整控除申告書
所得金額調整控は、年末調整の対象となる給与収入が850万円を超える人が、1本人が特別障害者である、223歳未満の扶養親族を有する、3特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する、のいずれかに該当する場合に、給与収入(1,000万円超の場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%(最大15万円)を控除するものです。
年末調整で適用を受けるためには、所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。
【ポイント】
・同一世帯である夫婦で、夫婦の両方が給与の収入金額850万円を超える人に該当し、年齢23歳未満の扶養親族がいるような場合、夫婦の両方が控除の適用を受けることができます。
・給与収入が850万円を超えるかどうかは、年末調整の対象となる主たる給与等で判定します。
◆保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料については保険料控除申告書に基づいて控除の適用を受けます。また、社会保険料や小規模企業共済等掛金のうち、毎月の給与から差し引かれていない保険料等で、本人が直接支払った保険料等についても、保険料控除申告書に基づいて控除の適用を受けます。
◆住宅借入金等特別控除申告書
金等特別控除は、最初の年分は確定申告により適用を受ける必要がありますが、2年目以降は年末調整の際に適用を受けることができますので、年末調整の時までに「住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。