令和4年1月から適用となる主な税制
◆電子帳簿保存法の見直し
・電子帳簿等保存について、*税務署長の事前承認を廃止、*モニター、説明害の備付け等の最低限の要件を満たす電子帳簿(正規の簿記の原則に従って記帳されるものに限る)もデータのまま保存等が可能、*一定要件を満たす優良な電子帳簿に対する過少申告加算税の軽減措置を設けます。
・スキャナ保存について、*税務署長の事前承認を廃止、*タイムスタンプの付与期間を最長約2カ月以内とし、書類の受領者等がスキャナで読み取る際に行う自署を不要とするなど要件を緩和、*適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査等)を廃止、*電子データの改ざん等による不正に対する重加算税の加重措置を設けます。
・電子取引について、授受した取引情報の電子データを出力した書面等により保存できる措置が廃止となり、一定要件の下、電子データのまま保存しなければならないこととされました。ただし、令和5年末までの電子取引データは、保存要件にしたがって保存できなかったことについてやむを得ない事情がある場合、引き続きその出力書面による保存が認められます。
◆退職所得課税の見直し
・役員等以外の者としての勤続年数が5年以下である者に対する退職手当等(短期退職手当等)の退職所得金額について、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分は、1/2課税が適用されないこととなりました。
・この取り扱いは、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数(1年未満の端数がある場合は1年に切り上げ)が5年以下である場合が該当しますが、勤続期間のうちに役員等として勤続した期間がある場合には、その役員等勤続期間を含めて該当するか否かを判定します。
◆セルフメディケーション税制の見直し
・対象となる医薬品に、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるスイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品を追加します。
・令和3年分の確定申告から、健診や予防接種等の「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類の添付又は提示は不要とされ、当該取組の名称等を明細書に記入することとされました(証明書類は5年間保管が必要)。
◆ふるさと納税の確定申告に係る添付害類
ふるさと納税について確定申告を行う場合、確定申告書にふるさと納税先の自治体が発行する受領書の添付が必要とされていますが、令和3年分の確定申告から寄附先ごとの受領証に代えて、特定事業者
※が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができることとされました。
※特定事業者とは、都道府県・市区町村と寄附の仲介に関する契約を締結している事業者のうち、国税庁長官が指定したものをいいます。
◆自動車税環境性能割の軽減措置の終了
・自動車を取得した際、燃費性能等に応じて課税される環境性能割について、自家用の乗用車の税率を1%軽減する特例措置は令和3年末で終了となりました。
・電気自動車(燃料電池車を含む)、プラグインハイブリッド自動車等は引続き非課税です。
◆特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る申告手続きの簡素化
個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の全部を申告不要とする場合(所得税においても申告不要とする場合を除く)に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、令和3年分以後の確定申告書の「住民税」欄に「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が追加されました。
※一部でも、所得税とは異なる控除の適用を受けようとする場合は、住民税の申告書を提出する必要があります。
◆特定納税管理人制度の創設
課税関係が発生する非居住者又は外国法人から自発的に納税管理人の届出がない場合において、税務当局が納税者に対して納税管理人の指定及び届出を要請しても届出がないなど、一定の要件を満たすときには、納税地を所轄する税務署長等が国内に住所又は居所を有する一定の者(国内便宜者)を納税管理人に指定することが可能とされました。