令和4年4月から開始される主な制度等(税制以外)
◆民法(成年年齢関係)の改正
・民法の成年年齢が20歳から18歳に引下げられます(令和4年4月1日時点で18歳、19歳に達している方は、その日に成人となります)。また、女性が結婚できる年齢(婚姻開始年齢)を16歳から18歳に引上げて、男女の婚姻開始年齢を18歳に統一します。
・民法の成年年齢は、「一人で有効な契約を締結することができる年齢」と「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があり、例えば、携帯電話の購入や、一人暮らしのためにアパートを借りる、クレジットカードを作成する、ローンを組んで高額商品を購入するといった様々な契約を親の同意がなくても自分の意思で行えるようになります。また、自分の住む場所(居所)や、進学や就職などの進路決定についても、自分の意思で決めることができるようになります。
・成年年齢引下げ後も飲酒や喫煙、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)、大型・中型自動車免許の取得などは20歳のまま維持されます。
◆年金制度の改正
・公的年金の繰下げ受給(現行66~70歳)について、上限年齢が75歳に引上げられます。
・繰上げ受給をした場合の減額率(現行0.5%/月)が、0.4%に引下げられます。
・60歳以上65歳未満の在職老齢年金について、年金の支給が停止される基準(現行28万円)が65歳以上の在職老齢年金と同じ47万円に緩和されます。
・在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者について、毎年10月に年金額を改定する在職定時改定を導入し、納めた保険料を年金額に反映します。
・年金手帳から基礎年金番号通知書の発行に切り替え、年金手帳の再交付は廃止します。
◆個人情報保護法の改正
・個人情報をデータベース化して事業活動に利用している全ての事業者が適用対象となる個人情報保護法について、多岐にわたる見直しが行われ、例えば、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある事態(要配慮個人情報が含まれる場合や財産的被害がある場合など)については、個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務化されます。・また、個人の権利の拡充等により、①利用停止・消去等の請求権について、利用する必要がなくなった場合や重大な漏えい等が発生した場合、本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合にも拡充、②保有個人データの開示方法について、電磁的記録の提供を含め、本人が指示できる、③個人データの授受に関する第三者提供記録について、本人が開示請求できる、④6ヵ月以内に消去する短期保存データについて、開示、利用停止等の対象とする、などが実施されます。
◆改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の全面施行
・中小事業主にも、職場におけるパワーハラスメントの防止措置(「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」、「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」、「職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」)を講じることが義務付けられます。
・労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協カして事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されます。
◆育児・介護休業法の改正
・本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する周知と休業の取得意向の確認を個別に行うことが義務付けられます。・育児休業の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は①研修、②相談窓口設置、③自社の育休取得の事例提供、④制度と育休取得促進に関する方針の周知のいずれかの措置を講じることが義務付けられます。
・有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であること」を廃止します。
◆女性活躍推進法の改正
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が常用労働者数101人以上300人以下の事業主にも義務付けられます。
◆道路交通法施行規則の改正
安全運転管理者の選任が義務となっている事業所(自動車を5台以上又は乗車定員11人以上の自動車を1台以上)について、「運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること」及び「確認の記録を1年間保存すること」が義務付けられます。