令和5年10月から変わる主な制度等(税制関連以外)
◆令和5年度地域別最低賃金の改定
・原則として各都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用される地域別最低賃金は、47都道府県で39円~47円(47円:2県、46円:2県、45円:4県、44円:5県、43円:2県、42円:4県、41円:10都府県、40円:17道府県、39円:1県)の引上げが行われ、改定額の全国加重平均額は前年度比43円引上げの1,004円となります。
・発効日は各都道府県で異なりますが、令和5年10月1日~14日までの間に順次発効されますので、必ず確認します。
◆「年収の壁」対策
人手不足への対応が急務となる中、配偶者(第2号被保険者)の被扶養者となっているパート労働者等(第3号被保険者)が一定以上の収入になった場合に扶養から外れて社会保険料の負担が生じる「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりのため、以下の施策を早急に開始します。
(1)「106万円の壁」への対応
・キャリアアップ助成金を拡充し、短時間労働者が新たに被用者保険の適用となる際に、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、一定期間助成(労働者1人当たり最大50万円)を行う。
※取組は賃上げや所定労働時間の延長のほか、次の社会保険適用促進手当を支給した場合も含める。
・事業主は新たに被用者保険の適用となった短時間労働者の保険料負担を軽減するため、給与・賞与とは別に「社会保険適用促進手当」を支給した場合、被用者保険適用に伴う本人負担分の保険料相当額を上限として最大2年間、保険料算定の基礎となる標準報酬月額から除外する。
(2)「130万円の壁」への対応
一時的に収入が増加し、直近の収入に基づく年収見込みが130万円以上となる場合、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする(同一の者について原則として連続2回まで)
(3)配偶者手当への対応
企業の配偶者手当の見直しを促進するため、見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい資料を作成・公表する。
◆ステルスマーケティング規制
・商品・サービスを供給する事業者(広告主)の広告であるにもかかわらず広告であることを隠す「ステルスマーケティング」を規制するため、一般消費者が事業者の広告・宣伝であることが分からない表示は景品表示法の「不当表示」として違反行為となります。これにより広告・宣伝である場合は一般消費者に明瞭に分かるような表示を行う必要があります。
規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、事業者から広告・宣伝の依頼を受けて表示や制作を行う第三者(インフルエンサーなど)は対象外です。
◆消費者裁判手続特例法の改正
不当な事業者に対して、内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体が消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる2段階型の訴訟制度「消費者団体訴訟制度(被害回復)」について、以下の改正が施行されます。
•*対象に一定の慰謝料(基礎的事実関係が共通で、財産的損害と併せて請求の場合又は故意による場合)を追加、*被告に事業者以外の一定の個人(故意・重過失がある事業監督者・被用者)を追加、*和解の早期柔軟化(一段階目で様々な和解が可能)、*消費者への情報提供方法の充実(事業者等に消費者への個別通知を義務付けなど)、*特定適格消費者団体を支援する消費者団体訴訟等支援法人の認定制度を導入、など。
◆その他
・自筆証書遺言書保管制度について、指定者通知(遺言者の死亡後、指定する者に遺言書が保管されていることの通知)の対象者を受遺者等に限定せず、3名まで指定が可能になります。
・公費負担となっていた新型コロナ治療薬について、医療費の自己負担割合が1割の方は3千円、
2割の方は6千円、3割の方は9千円を上限に自己負担となります。
・NHKの受信料が地上契約・衛星契約ともに約1割引下げられ、支払方法によって異なっていた受信料が統一されます。
日本郵便は郵便物の特殊取扱料(書留や内容証明など)や国際郵便料金などを引上げます。