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令和5年4月から施行される民法改正の概要

◆土地・建物に特化した財産管理制度の創設
所有者が不明であったり、所有者による管理が適切にされていない土地・建物は、公共事業や民間取引を阻害したり、近隣に悪影響を発生させるなど問題となりますが、これまで管理に適した財産管理制度がなかったことから、土地・建物の管理に特化した財産管理制度が創設されました。
◎「所有者不明土地・建物管理制度」と「管理不全土地・建物管理制度」
調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない所有者不明土地・建物や、所有者による管理が不適当であることによって、他人の権利・法的利益が侵害され又はそのおそれがある管理不全土地・建物について、それぞれの利害関係人が地方裁判所に申し立てることで、その土地・建物の管理を行う管理人(事案に応じて弁護士・司法書士・土地家屋調査士等)が選任されます。

◆共有制度の見直し
所有者不明土地問題をきっかけに共有物一般のルールが現代に合っていないことが明らかになり、共有物の利用や共有関係の解消をしやすくする観点から共有制度全般の見直しが行われました。
◎共有物の変更・管理に関する主な見直し
・共有物に変更を加える行為でも、軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)については全員の同意は不要となり、持分の過半数で決定することができます。
・所在等が不明な共有者がいる場合に、他の共有者は地方裁判所に申し立てを行い決定を得た上で、①所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により、共有物に変更を加えることができる、②所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数により、管理に関する事項を決定することができます。
◎共有関係を解消しやすくするための新たな制度の導入
所在等が不明な共有者がいる不動産について、他の共有者は、地方裁判所に申し立てを行い決定を得て、①所在等不明共有者の持分を取得することができる制度や、②所在等不明共有者の持分を譲渡する権限を付与し、不動産全体を第三者に譲渡できる制度が創設されました。
※裁判所において、持分に応じた時価相当額の金銭の供託が必要になります。

◆遺産分割に関する見直し
相続が発生し遺産分割をする際には、法定相続分等を基礎としつつ、個別の事情(生前贈与を受けたことや、療養看護等の特別の寄与をしたこと)を考慮した具体的な相続分を算定するのが一般的ですが、遺産分割がされないまま長期間放置されると具体的相続分に関する証拠等がなくなってしまい、遺産分割が困難になるといった問題があるため、具体的相続分による分割を求める相続人に早期の遺産分割請求を促し、遺産共有関係の解消を促進する新たなルールが設けられました。
◎長期間経過後の遺産分割のルール
相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として、具体的相続分を考慮せず、法定相続分又は指定相続分(遺言により指定された割合)によって画一的に行います(10年を経過する前に相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をした場合などは除く)
これは、改正法の施行日(令和5年4月1日)前に開始した相続にも適用されますが、施行時に相続開始から既に10年が経過している場合や、施行時から5年以内に相続開始から10年が経過する場合は、経過措置により、施行時から5年経過時が基準となる猶予期間があります。

◆相隣関係の見直し
隣地所有者が所在不明の場合などでも、隣地を円滑・適正に使用することができるようにする観点から、相隣関係に関するルールについて様々な見直しが行われました。
◎隣地使用権の見直し
土地の所有者は、所定の目的(①障壁、建物その他の工作物の築造、収去、修繕、②境界標の調査・境界に関する測量、③越境した枝の切取り)のために必要な範囲内で「隣地を使用することが「できる」旨が明確化されるとともに、隣地使用に際しての通知ルールなどが整備されました。
◎ライフラインの設備の設置・使用権の整備
他人の土地や設備を使用しなければ各種ライフラインを引き込むことができない土地の所有者は、必要な範囲内で、他の土地に設備を設置する権利や、他人の所有設備を使用する権利を有することが明文化されるとともに、設置・使用のためのルールが整備されました。
◎越境した竹木の枝の切取りに関する見直し
竹木の枝が境界線を越える場合に、越境された土地の所有者は竹木の所有者に枝を切除させる必要がありますが、①竹木の所有者に催告したが相当の期間内に切除しない、②竹木の所有者又はその所在を知ることができない、③急迫の事情がある、のいずれかの場合は自ら枝を切除できます。

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