令和5年度与党税制改正大綱の概要 (主な中小企業関連)
◆小企業の設備投資関連税制の見直し・延長等
◎中小企業投資促進税制
対象資産から、コインランドリー業 (主要な事業であるものを除く) の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外する、などの見直しを行った上で、適用期限を2年延長します。
◎中小企業経営強化税制
特定経営力向上設備等の対象から、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業 であるものを除く)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上で、適用期限を2年延長します。
◎中小企業防災・減災投資促進税制
対象資産に耐震装置を追加し、 令和7年4月以後に取得等をする資産の特別償却率を 16% (令和5年4月以後は18%) に引下げた上で、適用期限を2年延長します。
◎先端設備等導入計画に基づく設備投資に係る固定資産税の特例措置の創設
市町村の認定を受けた 「先端設備等導入計画」に基づき、年平均 5%以上の投資利益率が見込まれる投資計画に記載された一定の機械装置等を導入した場合に、固定資産税の課税標準を 3 年間 1/2※とする特例措置を2年間 (令和5年4月から令和7年3月まで) 講じます。
※雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させることを同計画に位置付け、労働者に表明したことを 証明する書類を添付して市町村の認定を受けた場合は最大5年間、課税標準を1/3 とする。
◆インボイス制度 (適格請求書等保存方式) に係る見直し
・これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2 割とすることができる3年間(令和5年10月から令和8年9月までの日の属する各課税期間) の負担軽減措置を講じます。
基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が 5,000万円以下である事業者が、 令和5年10月から令和11年9月までの間に国内において行う課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満の取引について、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による 仕入税額控除を認める経過措置を講じます。
・1万円未満の値引きや返品等の返還インボイスについて、交付義務を免除します。
・インボイス発行事業者登録制度について、 令和5年10月1日にインボイス発行事業者の登録 を受けようとする事業者が令和5年4月以後に登録申請書を提出する場合、 困難な事情の記載が なくても令和5年9月までの申請は令和5年10月1日を登録開始日として登録するなどの見直しを行います。
◆電子帳簿等保存制度の見直し
◎電子取引データに係る保存制度
・電子取引の取引情報に係るデータについて、出力した書面等による保存も認める宥恕措置は適用 期限(令和5年12月末)をもって廃止となりますが、令和6年以後は保存要件に従って保存を することができなかったことについて相当の理由がある事業者に対して、 データのダウンロード及び出力書面の提示等の求めに応じることができるようにしている場合は、 検索機能等の要件を満たしていなくてもデータのまま保存できるとする猶予措置を講じます。
・データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合に検索要件の全てを不要 とする措置の対象者を、その判定期間における売上高が5,000万円以下の事業者等に緩和します。
◎スキャナ保存制度
令和6年から、 *国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存要件を廃止、* 国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件を廃止、などの見直しを行います。
◆防衛力強化に係る財源確保のための措置 (法人税の措置)
わが国の防衛力の抜本的な強化を行う財源を確保するため、法人税、所得税及びたばこ税について税制措置を講じて、令和6年以降の適切な時期 (未定) に施行します。
税制措置のうち法人税については、法人税額に対して税率 4~4.5%の新たな付加税を課しますが、中小法人に配慮する観点から課税標準となる法人税額から500万円を控除します。