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令和5年度税制改正における贈与制度の見直し

令和5年度税制改正では、相続・贈与に係る税負担を一定にして、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築していくため、相続開始前に暦年課税における贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間の見直しや、相続時精算課税の使い勝手をよくするための見直しが行われました。


◆暦年課税における生前贈与の加算期間の見直し
【現行制度の概要】
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(複数人から贈与を受けた場合や、同じ人から複数回にわたり贈与を受けた場合には、それらの財産価額の合計額)から基礎控除額(110万円)を差し引いた残額を基に贈与税額を計算する制度です。
贈与者が亡くなった際には相続税の計算上、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産の価額を相続財産に加算する必要があります。
【改正のポイント】
・暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間について、相続開始前3年以内から相続開始前「7年以内」に延長します。
・また、延長された4年間(相続開始前3年超7年以内)において取得した贈与財産は、当該財産の価額の合計額から100万円を控除して相続財産に加算します。
・上記の改正は、令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る相続税について適用されるため、令和8年12月以前の相続については加算期間は3年間となります。令和9年1月以後の相続から3年を超える加算期間となり、加算期間が7年間となるのは令和13年1月以後の相続からとなります。


◆相続時精算課税制度の見直し
【現行制度の概要】
相続時精算課税は、贈与の年の1月1日において、60歳以上の父母または祖父母などから18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与は20歳以上)の子または孫などに対して財産を贈与した場合において、暦年課税に代えて適用できる制度です。
贈与者ごとに選択することができ、選択した特定贈与者から贈与を受けた財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(2,500万円)を控除した残額に対して贈与税(一律20%)がかかり、その贈与者が亡くなった場合に贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額の合計を基に計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除することで、贈与税・相続税を通じた納税を行う方式です。
なお、本制度を選択した特定贈与者から贈与を受けた財産は、選択した年分以降全て相続時精算課税が適用され、暦年課税への変更はできません。また、特定贈与者から贈与を受けた財産の価額が110万円以下であっても、贈与の都度申告が必要となります。
【改正のポイント】
①基礎控除の創設
・相続時精算課税に暦年課税の基礎控除110万円とは別途、毎年110万円まで課税しない基礎控除を創設し、本制度適用者が特定贈与者から受けた贈与財産の価額が年間110万円以下の場合は申告が不要となります。
・また、特定贈与者が亡くなった場合に相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額は現行、本制度適用後のすべての贈与財産が対象となりますが、改正後は基礎控除110万円を控除した後の贈与財産が加算対象となります。
・上記の改正は令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用します。
②土地・建物が災害で被害を受けた場合の再計算の導入
・本制度適用者が特定贈与者から贈与により取得した土地又は建物が災害によって一定以上の被害を受けた場合において、特定贈与者が亡くなった際に相続税の課税価格に加算する当該土地又は建物価額は、贈与時点の評価額ではなく、災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した価額とします。
・上記の改正は、令和6年1月1日以後に生じた災害の被害を受けた場合について適用します。

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