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令和6年1月から見直されるマンションの相続税評価方法

国税庁は、居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)に係る相続税評価額の新たな評価方法を定めた「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」を公表しました。本通達は令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価について適用されます。

◆趣旨
居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)については、相続税評価額と市場価格(売買実例価額)が大きく乖離するケースもあり、平成30年中に取引された全国の分譲マンションの相続税評価額と市場価格(売買実例価額)の乖離について取引実態等を確認したところ、平均で2.34倍の乖離が把握され、かつ、約65%の事例で2倍以上乖離していることが把握されたことから、課税の公平を図りつつ、納税者の予見可能性を確保する観点からも、タワーマンションなどの一部のものに限らず、広く居住用の区分所有財産を対象に評価方法を見直します。
なお、一戸建ての相続税評価額が市場価格(売買実例価額)の6割程度の評価水準となっていることを踏まえ、分譲マンションにおいても少なくとも市場価格の6割水準となるように補正します。

◆新たな評価方法の概要
本通達は、現行の相続税評価額と売買実例価額との乖離に基づき統計的に予測した市場価格を考慮して、現行の相続税評価額に補正率(区分所有補正率)を乗じて評価する方法を採用しており、以下に示す算式により求めた「評価乖離率」を基に相続税評価額を補正します。
相続税評価額の補正に当たっては、評価乖離率の逆数である評価水準(1を評価乖離率で除した値)が0.6未満となる場合は評価乖離率に0.6を乗じた値、評価水準が1を超える場合は評価乖離率を区分所有補正率として、一室の区分所有権等に係る敷地利用権及び区分所有権のそれぞれの評価額に乗じて補正します。なお、評価水準が0.6以上1以下の場合は補正しません。

※評価乖離率を求める算式及び評価水準に係る値(0.6)については、適時見直しを行う。
◎評価乖離率の算式
【評価乖離率=A+B+C+D+3.220】
A=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033

※築年数は当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、1年未満の端数があるときは、
その端数は1年とする。
B=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨て)

※総階数指数は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする)。この場合において、総階数には地階を含まない。C=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018

※当該一室の区分所有権等に係る専有部分が一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合(いわゆるメゾネットタイプ)は階数が低い方を所在階とし、当該専有部分が地階である場合は零階とする。D=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げ)

※敷地持分狭小度は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げ)。
《一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額》
一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、評価通達25((貸宅地の評価))(1)に定める「自用地としての価額」に、次の区分所有補正率を乗じた価額を当該「自用地としての価額」とみなして評価通達を適用して計算した価額によって評価する。ただし、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しない。
1評価水準が1を超える場合の区分所有補正率は「評価乖離率」
2評価水準が0.6未満の場合の区分所有補正率は「評価乖離率×0.6」

※区分所有者が「一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分」及び「一棟の区分所有建物の敷地」のいずれも単独で所有している場合、区分所有補正率は1を下限とする。
《一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額》
一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額は、評価通達89(家屋の評価))、89-2((文化財件増物である家屋の評価))又は92((附属設備等の評価))の定めにより評価した「自用家屋としての価額」に、上記(敷地利用権の価額)の区分所有補正率(※は除く)を乗じて計算した価額を当該「自用家屋としての価額」とみなして評価通達を適用して計算した価額によって評価する。ただし、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しない。

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