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令和6年から使い勝手が向上する 「相続時精算課税」

令和5年度税制改正において、相続時精算課税に基礎控除を創設するなど使い勝手をよくするための見直しが行われ、令和6年1月から適用されます。

◆現行の相続時精算課税の概要
相続時精算課税制度は、原則として贈与の年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母などから、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与により財産を取得した場合は20歳以上)であって贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫に対し、財産を贈与した場合において暦年課税に代えて適用できる制度で、次のように贈与税・相続税を通じた課税を行います。
なお、相続時精算課税は受贈者が贈与者ごとに選択できますが、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者(特定贈与者)から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
【贈与時】
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年分以後、特定贈与者から1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額2,500万円(前年以前において既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。
※暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、特定贈与者から贈与を受けた財産の価額が110万円以下であっても、贈与の都度申告が必要となります。
【相続時】
特定贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額(贈与時の時価)と相続や遺贈により取得した財産の価額の合計金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
◎申告等の手続き
相続時精算課税を選択しようとする受贈者は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者や特定贈与者の戸籍の謄本又は抄本などの書類とともに贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。
令和6年1月から適用される相続時精算課税の改正
◎基礎控除の創設
・相続時精算課税に特別控除額(2,500万円)とは別に、特定贈与者から受けた贈与財産の価額から年110万円を控除する基礎控除を創設します。

これにより、本制度適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産の価額の合計額が年110万円以下の場合は贈与税の申告が不要となります。
また、特定贈与者が亡くなった場合に相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額は現行、本制度適用後のすべての贈与財産が対象となりますが、改正後は基礎控除110万円を控除した後の贈与財産が加算対象となります。
・この改正は令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用します。
◎土地又は建物の価額の特例の創設

・本制度適用者が特定贈与者から贈与により取得した土地又は建物が災害によって一定以上の被害を受けた場合(土地又は建物を贈与日から災害発生日まで引き続き所有していた場合に限る)において、特定贈与者が亡くなった際に相続税の課税価格に加算する当該土地又は建物の価額は、贈与時における価額から、災害による被災価額(被害額から保険金などにより補填される金額を差し引いた金額)を控除した残額とすることができます。
・この特例の適用を受けるためには、原則として、その災害発生日から3年を経過する日までに、災害による被害額や保険金などにより補填される金額などの事項を記載した申請書に「り災証明書」など一定の書類を添付して、その相続時精算課税適用者の贈与税の納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。
この改正は、令和6年1月1日以後に生じた災害の被害を受けた場合について適用します。

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