令和6年以降の現行NISA制度の取扱い
令和5年度税制改正により、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化が行われ、令和6年から新制度に変わります。また、現行のNISA制度の取扱いは次のようになります。
◆現行のNISA制度の取扱い
・令和6年以降、現行の一般NISA口座・つみたてNISA口座ジュニアNISA口座での新規買付けはできません。
・現行のNISA口座で保有する商品を新NISA口座に移すことはできませんが、それぞれの非課税保有期間
※が終了するまでの間は、現行のNISA口座のまま非課税で保有することができます。
※ジュニアNISAは5年間の非課税保有期間が終了後も18歳になるまで非課税で保有することが可能です。なお、令和6年以降は、保有している株式・投資信託等および金銭の全額について、年齢にかかわらず、災害等やむを得ない事由によらない場合でも、非課税での払出しが可能です。
・非課税保有期間の終了後、保有している商品は課税口座(特定口座又は一般口座)へ移管されます。特定口座をNISA口座と同一の金融機関に開設している方は、特段の手続をすることなく、特定口座に移管されます。なお、特定口座を開設している方で、一般口座への移管を希望される場合には、証券会社等に所定の依頼書を提出します。
・課税口座への移管の際は、非課税保有期間が終了する年の最終営業日の時価で移管されます。
・課税口座への移管後に譲渡した場合には、移管時の時価が課税口座における取得価額となり、それをもとに利益に対して課税されます(損益通算等が可能)。また、移管後に支払われた配当等は課税されます。
◆課税口座に移管する場合の注意点等
NISA口座で保有する商品を非課税保有期間の終了後、課税口座に移管した場合、非課税保有期間が終了する年の最終営業日の時価が課税口座における取得価額となります。移管後に売却した場合は、その取得価額を基に計算するため、移管する時点で保有資産が値上がりしているか値下がり
しているかで、売却する際に支払う税金に差が出ます。
◎値上がりしているケース
例えば、120万円で購入し、非課税保有期間が終了する年の最終営業日の時価が150万円に値上がりした商品を課税口座へ移管した場合、課税口座における取得価額は150万円となり、実際の購入価額よりも30万円引上がります。その後200万円で売却した場合、譲渡益は50万円
(200万円-150万円)となります。
◎値下がりしているケース
課税口座へ移管時の時価が当初の購入額より値下がりしている場合で、その後時価が値上がりした際に売却すると、課税口座移管時の時価との差が譲渡益となりますので、注意が必要です。
例えば、120万円で購入し、非課税保有期間が終了する年の最終営業日の時価が70万円に値下がりした商品を課税口座へ移管した場合は、取得価額が70万円となります。その後100万円に値上がりしたため売却した場合は、譲渡益30万円(100万円-70万円)となり、当初の購入価格からみると損失が出ている状況にもかかわらず、課税対象となります。
【参考】新NISA制度の概要
新NISAは、「つみたて投資枠(年間投資上限120万円)」と「成長投資枠(年間投資上限240万円)」で構成され、併用により年間360万円まで投資が可能となります。ただし、新NISA口座で保有する商品の金額(非課税保有額)には、買付額ベースで1,800万円の限度額が設定されており、年間投資上限額の範囲内でも限度額を超えて投資することはできません。
年間投資上限額
つみたて投資枠 成長投資枠
120万円 240万円
非課税保有期間 無期限
非課稅保有限度額 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
※簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)
投資対象商品 積立・分散投資に適した投資信託 上場株式・投資信託等
対象年齢 18歳以上
現行制度との関係 新制度の外枠で現行制度における非課税措置を適用