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DC一時金を受け取っている場合の退職所得控除の調整規定等の見直し

 令和7年度税制改正大綱では、確定拠出年金(企業型DCやiDeCo)の老齢一時金を受け取った後に勤務先からの退職手当等の支払を受ける場合における退職所得控除の調整規定等の見直しが盛り込まれました。

◆退職手当等の課税の取扱い
 退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当等の所得をいい、退職所得控除や1/2課税、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう取扱いが優遇されています。
 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金なども退職手当等とみなされ、次のように退職所得金額を計算します。

◎退職所得金額の計算方法
 退職所得の金額は、原則として、退職手当等の収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた残額に1/2を乗じた金額となります。

【課税退職所得金額=(収入金額一退職所得控除額)×1/2】
※特定役員退職手当等に該当する場合は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得金額となり、1/2課税の適用はありません。また、短期退職手当等に該当する場合は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分について、1/2課税の適用はありません。

◎退職所得控除額
退職所得控除額は、勤続年数に応じて次のように計算します。なお、確定拠出年金などにおいては掛金の払込期間が勤続年数とみなされます。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下の場合 40万円×勤続年数
※計算後の金額が80万円に満たない場合は、80万円
20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数20年)

◆前年以前に他の退職手当等を受けている場合の退職所得控除の調整規定
 退職手当等を受け取る年の前年以前に他の退職手当等を受けている場合は、退職所得控除の計算において調整規定の適用を受ける場合があります。
 現行では、退職手当等を受け取った年の前年以前4年内に他の支払者から支払われた退職手当等を受け取っている場合に、退職所得控除の計算上、前の退職手当等の勤続年数との重複期間を排除して控除額を計算します。
 また、確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金(DC一時金)の支払を受けた年の前年以前19年内に他の支払者から支払われた退職手当等を受け取っている場合についても重複期間を排除して退職所得控除額を計算します。

◎令和7年度税制改正大綱に盛り込まれた改正の概要
 近年、定年の引上げ等により、先にDC一時金を受け取り、5年以上経過後に退職手当等を受け取るケースが増加しており、この場合は重複期間の排除はないため、勤続年数に応じた退職所得控除が適用できます。
 しかし、課税の公平性の観点から令和7年度税制改正大綱において、次のような重複排除に係る調整規定の対象を拡大する見直し等が盛り込まれました。
①退職手当等(DC一時金を除く)の支払を受ける年の前年以前9年内(現行4年内)にDC一時金の支払を受けている場合には、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の対象とする。
②DC一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする。
③退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての居住者(現行退職手当等の支払をする法人の役員である居住者)に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出しなければならないこととする。
 上記①、②の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用します。また、3の改正は令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票について適用します。

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