一般NISAの非課税期間終了時におけるロールオーバーと課税口座への移管
◆概要
一般NISA口座で保有する上場株式や公募株式投資信託等で、平成27年(2015年)に購入したものは、令和元年(2019年)12月末で非課税期間(5年間)が終了します。
引き続き非課税としたい場合は、令和2年(2020年)に設定される一般NISA口座に移管(ロールオーバー)することができます。
ロールオーバーしなかった株式や株式投信等については、課税口座に自動で移管されます(特定口座を持っていない場合は、一般口座に移管)
なお、ロールオーバーを希望する場合は、非課税期間終了までに手続きが必要です。
◆ロールオーバーについて
令和元年(2019年)12月の最終営業日の時価により、令和2年(2020年)分の非課税管理勘定へ移管されます。この場合、令和2年(2020年)の非課税枠(120万円)を利用するため、令和2年(2020年)の非課税枠は、ロールオーバーを行った株式や株式投信等の令和元年(2019年)末の時価の分だけ少なくなります。
なお、非課税枠120万円を超過した場合でも、全てロールオーバーできますが、非課税枠を使い切るため、新規投資はできません。
【ロールオーバーできないケース】
1令和2年(2020年)の一般NISA口座を設定していない場合......令和元年(2019年)の一般NISA口座を設定していない場合は、令和2年(2020年)の一般NISA口座は自動で設定されません。なお、つみたてNISA口座と一般NISA口座は同時に設定できません。
2平成27年(2015年)に設定した一般NISA口座と令和2年(2020年)に設定する一般NISA口座が別の証券会社等の場合......異なる証券会社等の一般NISA口座にロールオーバーすることはできません。
3「(非課税口座)継続適用届出書」を提出して出国中の場合......出国中に非課税期間が終了した場合にはロールオーバーを行うことができません。
◆「課税口座」への移管について
ロールオーバーを行わない場合は、令和元年(2019年)12月の最終営業日の時価により課税口座へ移管され、令和2年(2020年)以降に生じた譲渡益・配当等は課税されます。また、譲渡損失が発生した場合は損益通算や損失の繰越控除が可能となります。
なお、特定口座を一般NISA口座と同一の部店に開設している場合は、特段の手続きをすることなく、特定口座に移管されます。
※特定口座がない場合は、一般口座に移管されます。また、特定口座を開設している場合で、一般口座への移管を希望する場合には、証券会社等に所定の依頼書を提出します。
◎移管後に売却する場合
令和元年(2019年)12月末の時価が課税口座における取得価額となり、譲渡時には取得価額を基に計算するため、移管する時点で保有資産が値上がりしているのか値下がりしているのかで、その後に課税口座で保有している金融商品を売却する際に支払う税金に差が出ます。
【値上がりしているケース】
例えば、平成27年(2015年)に100万円で購入し、令和元年(2019年)12月末の時価が150万円となった投資信託を課税口座へ移管した場合は、取得価額が150万円となり、実際の購入価額よりも50万円分引き上がります。その後200万円で売却した場合は、譲渡益50万円(200万円-150万円)に対して課税されます。
【値下がりしているケース】
課税口座へ移管時の時価が当初の購入額より下落している場合で、その後時価が上昇した際に売却すると、課税口座移管時の時価との差が譲渡益となり課税されますので、注意が必要です。
例えば、平成27年(2015年)に100万円で購入し、令和元年(2019年)12月末の時価が70万円となった投資信託を課税口座へ移管し、その後100万円に値上がりしたため売却した場合、取得価額は70万円となるため、30万円の譲渡益(100万円70万円)となり、課税されます。