労働保険 年度更新(継続事業)の概要など
◆労働保険年度更新の概要
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算されることになっており、全ての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。
保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定後、精算する方法のため、前年度の保険料を精算するための確定保険料と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となり、これを「年度更新」といいます。
また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金(賃金総額に一律1000分の0.05を乗じて算定)も、年度更新の際に労働保険料と併せて申告・納付することになっています。
なお、年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行います。
◎労働者とは
職業の種類を問わず、事業に使用され、賃金が支払われる者をいいます。ただし、雇用保険料の負担が免除される高年齢労働者(保険年度の初日において満64歳以上)や、雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金は、労災保険料と雇用保険料を区別して、それぞれ算定した合計が労働保険料となります。
◎賃金総額とは
賃金・給与・手当・賞与など名称の如何を問わず労働の対償として事業主が労働者(年度途中の退職者を含む)に支払うもので、税金その他社会保険料等を控除する前の支払総額をいいます。
◎労働保険料の延納(分割納付)
概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上の場合、または労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、原則として、労働保険料の納付を3回に分割する事ができます。
◆申告書を提出する際のチェックポイント
□雇用保険の加入要件を満たすパート労働者などの加入手続き漏れはないか(労働者を雇い入れた場合は、その都度、管轄のハローワークに資格取得届の提出が必要です)
□労働者の賃金に算入漏れはないか(賞与や通勤手当なども含みます。また、支払いが確定した賃金は算定期間中に支払われなくとも算入されます)
□役員の報酬等を賃金総額に算入していないか(対象となる賃金は労働者の部分のみで役員は含まれません)
□出向労働者等の賃金の算入漏れはないか(労災保険では、原則として出向元で支払われている賃金も出向先の賃金に含めて計算します)
□労災保険率の適用誤りはないか(メリット制が適用されている場合は、労災保険料率決定通知書に記載された料率で計算します)
◆Q&A
Q.保険料の計算をした場合に小数点以下が発生した場合は?
A.切り捨てになります。ただし、労災保険と雇用保険の算定基礎額が同額の場合は別々に計算して切り捨てるのではなく合計の料率を算定基礎額に乗じ、その後切り捨ててください。
Q.前年度確定保険料は不足額があり、今年度概算保険料(40万円未満)と合計すると40万円を超える場合、延納できる?
A.できません。概算保険料額が原則40万円以上の場合に延納が可能となります。
Q.納付金額がない場合、申告書の提出は?
A.申告書のみを管轄の労働基準監督署または労働局に提出してください。
Q.一般拠出金とは何か?
A.石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、事業主が負担するものです
Q.申告内容について、調査を行うこともある?
A.毎年、労働局又は労働基準監督署の職員が調査を行っています。仮に申告額に誤りがあり不足額が判明した場合は、不足額とともに不足額の10%を追徴金として徴収することとなります。