中小企業の経営課題に関するアンケート調査結果(東商)
※東京商工会議所が行った「中小企業経営課題に関するアンケート調査」の中で、消費税率の引き上げの対応状況についての調査部分
◆消費税率の引き上げについて
◎消費税率の引き上げ分を価格に転嫁する取り組みについて
【全体】消費税率の引き上げに際し、どのような価格転嫁の方法を考えているかについては、70.8%の企業が「全ての商品を一律で3%引き上げる」意向を示している。次いで、「消費税率に関わらず、全ての商品の価格を見直し、適切な利益を得る」(18.7%)、「値段に敏感な商品は据え置き、その他の商品を3%引き上げて、事業全体で消費税率の引き上げ分の利益を得る」(1.7%)、「商品の量を減らすことや、時間を短縮して、事業全体で消費税率の引き上げ分の利益を得る」(1.4%)となっている。
一方で、後述の価格転嫁の見込みについては、「全て転化できる」と回答している企業は約6割に止まっていることから、価格を一律で引き上げたとしても、販売不振等による売上低下などを懸念している事業者が存在すると考えられる。消費税引き上げ後の価格設定は、業種・業態に応じて、市場環境や販売戦略などを勘案し、価格転嫁の方法を総合的に検討する必要があると思われる。
【業種別】全ての業種で、「一律で3%引き上げる」と回答する割合が高いが、建設業において、「全ての商品の価格を見直し、適切な利益を得る」の回答が32.8%と他の業種より高い結果となっている。
【規模別】全ての規模で、「一律3%引き上げる」の回答が高く、規模による大きな差は見られない。
◎消費税率の引き上げに伴う、貴社の課題について
【全体】「レジ、経理ソフト等、システム変更に伴う費用負担」(30.1%)が最も高く、次いで「帳簿処理の切り替え」(26.3%)、「請求書・領収書の切り替え」(25.2%)、「税額引き上げ分の取引先への価格転嫁」(24.1%)、「消費税の納税準備のための資金繰り管理」(21.2%)、「販売価格の設定」(18.1%)、「販売価格や消費税の表示方法(内税・外税方式)」(16.3%)、「値札付け替えに伴う事務負担」(10.3%)となっている。
【業種別】「小売業」において、「販売価格の設定」(38.2%)が最も高く、また、「レジ、経理ソフト等、システム変更に伴う費用負担」(36.4%)、「値段付け替えに伴う事務負担」(36.4%)、「販売価格や消費税の表示方法(内税・外税方式)」(36.4%)で他の業種に比べ高い割合を示し、多様な課題を抱えている状況が伺える。一方、「建設業」においては、34.2%が「特になし」と回答している。
【規模別】規模による大きな特性は見出せない。
◎消費税率の引き上げに伴う価格転嫁の見込みについて
【全体】「全て転嫁できる」と回答した割合が最も高い業種が「卸売業」(63.4%)となっている。一方、「小売業」は「全て転嫁できる企業」企業が53.6%に止まり、また、「一部しか転嫁できない」企業が19.6%となっている。サービス業の詳細をみると、「飲食業」は「全て転嫁できる」企業が36.8%に止まる一方、「ソフトウェア・情報処理業」では76.1%と最も高くなっている。
「全て転嫁できる」と回答する割合は、「飲食業」(36.8%)、「小売業」(53.6%)、「個人向けサービス業」(50.0%)などの対消費者向け(BtoC)取引の業種ではやや低く、より価格転嫁の見込みが厳しい結果となっている。
【規模別】「全て転嫁できる」と回答した企業は「5人以下」では、53.6%と小規模事業の方が価格転嫁に懸念が残る場合が多い。