役員給与の改定について
◆定期同額給与とは
(1)その支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。
(2)定期給与の額につき、次に掲げる改定がされた場合におけるその事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの。
※その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ヶ月を経過する日までにされた定期給与の額の改定。ただし、特別の事情があると認められる場合はその改定の時期。
※その事業年度において役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされたその役員に係る定期給与の改定(臨時改定事由)。
※その事業年度においてその法人の経営状況あ著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の改定(業績悪化改定事由)。
(3)継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される額が毎月おおむね一定であるもの。
※定期同額給与以外にも、事前確定届出給与(所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、事前確定届出給与に関する届出が必要)又は利益連動給与(同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して利益に関する指標を基礎として算定される給与)に該等する場合は、全額損金に算入されます。
◆役員給与の改定に関するQ&A
Q,例えば、3月決算法人が5月25日に開催した定時株主総会において、6月支給分の給与から20万円増額し月額80万円を支給することを決議し、その後、業績が好調であることから、同年9月1日に臨時株主総会を開催し、同月支給分の給与から更に10万円増額し月額90万円とすることを決議した場合、損金不算入となる額は?
A.損金不算入額は、9月に行った増額改定後の定期給与のうち、増額改定前の支給額に上乗せして支給した部分の金額70万円(10万円×9月から翌年3月までの7ヶ月分)となります。
Q.会社の上半期の業績が予想以上に悪化したため、年度の中途で、株主との関係上、経営上の責任から役員が自らの定期給与の額を減額することとし、その旨、取締役会で決議しました。このような年度中途の減額改定は、「業績悪化改定事由」による改定に該等しますか?
A.業績悪化改定事由に該等するものと考えられます。「業績悪化改定事由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、財務諸表の数値が相当程悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれることになります。
Q.売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを出したことで、数ヶ月後には売上が激減することが避けられない状況となったため、今月から役員給与を減額する旨を取締役会で決議しましたが、現状ではまだ売上が減少しておらず、数値的指標が悪化しているとまでは言えない場合には、業績悪化改定事由による改定に該等しませんか?
A.業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。現状では数値的指標が悪化しているとまでは言えないものの、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められる場合、また、今後著しく悪化することが不可避と認められる場合であって、これらの経営改善策を講じたことにより、結果として著しく悪化することを予防的に回避できたときも、業績悪化改定事由に該等するものと考えられます。なお、客観的な状況がない単なる将来の見込みにより役員給与を減額した場合は該等しないことになります。
Q.当社の代表取締役は、病気のため2ヶ月間の入院が必要となり、当初予定されていた職務の執行が一部できない状態になったため、取締役会を開催し、役員給与の額を減額することを決議しました。また、退院後、従前と同様の職務の執行が可能となったことから、取締役会の決議を経て、入院前の給与と同額の給与を支給する場合、役員給与は定期同額給与に該等しますか?
A.「臨時改定事由」による改定と認められるため、いずれも定期同額給与に該等します。