簡易課税制度の概要とみなし仕入率の見直し
◆簡易課税制度の概要
課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行う簡易課税制度の適用を受けることができます。
この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合(みなし仕入率)とするというもので、事業の区分ごとに第一種事業(卸売業)90%、第二種事業(小売業)80%、第三種事業(製造業等)70%、第四種事業(その他の事業)60%、第五種事業(サービス業等)50%が適用されます(平成26年度税制改正により一部見直しされます)。
適用を受けるためには、納税地の所轄税務署長に原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要となり、原則として、2年間は実額計算による仕入税額の控除に変更することはできません。また、2年間継続して適用した後、適用をやめる場合には、適用をやめる課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
◆みなし仕入率の見直しと経過措置
簡易課税制度のみなし仕入率が、次のとおり改正されました。
※金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業となり、みなし仕入率が60%から50%になります。
※不動産業が、第五種事業から新たに設けられた第六種事業となり、みなし仕入率は50%から40%になります。
※この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。ただし、次の経過措置が設けられています。
◎経過措置の内容
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても当該届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間(簡易課税制度の適用を受けることをやめることができない期間)については、改正前のみなし仕入率が適用されます。
※平成26年10月1日以後に「消費税簡易課税制度選択届出書」を新たに提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されます。
【例】不動産業に該当する事業を営む者に係る経過措置の適用関係
※3月31日決算法人が「消費税簡易課税制度選択届出書」を①25.3.31以前、②26.3.27、③26.9.26、④26.10.6に提出した場合
「消費税簡易課税 制度選択届出書」 の提出年月日 |
課 税 期 間 | ||||
自25.4.1 至26.3.31 |
自26.4.1 至27.3.31 |
自27.4.1 至28.3.31 |
自28.4.1 至29.3.31 |
自29.4.1 至30.3.31 |
|
①25.3.31以前 |
第五種 | 第五種 |
第六種 |
第六種 | 第六種 |
②26.3.27 |
一般課税 | 第五種 | 第五種 | 第六種 | 第六種 |
③26.9.26 |
一般課税 | 一般課税 | 第五種 | 第五種 | 第六種 |
④26.10.6 |
一般課税 | 一般課税 | 第六種 | 第六種 | 第六種 |
※個人事業者及び12月31日決算法人が「消費税簡易課税制度選択届出書」を①25.12.31以前、②26.9.26、③26.10.6、④27.3.16に提出した場合
「消費税簡易課税 制度選択届出書」 の提出年月日 |
課 税 期 間 | ||||
自26.1.1 至26.12.31 |
自27.1.1 至27.12.31 |
自28.1.1 至28.12.31 |
自29.1.1 至29.12.31 |
||
①25.12.31以前 |
第五種 | 第五種 |
第六種 |
第六種 | |
②26.9.26 |
一般課税 | 第五種 | 第五種 | 第六種 | |
③26.10.6 |
一般課税 | 第五種 | 第六種 | 第六種 | |
④27.3.16 |
一般課税 | 一般課税 | 第六種 | 第六種 |