今国会で成立した主な法律の概要
◆会社法の改正
◎監査等委員会設置会社制度の創設
株式会社の機関設計として、監査役を置かず、監査等委員である取締役(3人以上かつ過半数は社外取締役)によって構成される監査等委員会を置く監査等委員会設置会社制度を創設。現行の委員会設置会社は、「指名委員会等設置会社」に変更。
◎社外取締役・社外監査役の要件の見直し
親会社等または兄弟会社の一定の関係者、会社関係者の近親者ではないことが要件となる。
◎多重代表訴訟制度の創設
親会社の株主による子会社の役員等の責任追及できる制度(多重代表訴訟制度)を創設。
◎特別支配株主の株式等売渡請求制度の創設
特別支配株主(90%以上の議決権を持つ株主)が他の株主全員に対して、保有する株式の全部を売り渡すことを請求できる制度を創設。
◎その他
※監査役設置会社(公開会社かつ大会社に限る)が社外取締役を置いていない場合、理由の開示する。
※支配株主の異動を伴う募集株式の発行等(第三者割当て規制)など。
【施行日】公布日(平成26年6月27日)から1年6ヶ月以内の政令で定める日
◆パートタイム労働法の改正
◎正社員と差別的取扱いが禁止される短時間労働者の対象範囲の拡大
現行、正社員と差別的取扱いが禁止される短時間労働者は、①職務内容が正社員と同一、②人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、③無期労働契約を締結していることとされているが、①、②に該当すれば、正社員と差別的取扱いが禁止される。
◎短時間労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設
事業主は、短時間労働者を雇い入れた際、賃金制度はどうなっているか、教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるかなど、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明することを義務付ける。
【施行日】公布日(平成26年4月23日)から1年以内の政令で定める日
◆労働安全衛生法の改正
◎ストレスチェック制度の創設
医師、保健師などによるストレスチェックの実施を事業者に義務付ける(ただし、従業員50人未満の事業場は当分の間努力義務)。ストレスチェックの結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。
【施行日】公布日(平成26年6月25日)から1年6ヶ月以内の政令で定める日。
◎化学物質管理のあり方の見直し
特別規則の対象にされていない化学物質のうち、一定のリスクがあるものなどについて、事業者にリスクアセスメントを義務付ける。
【施行日】公布日(平成26年6月25日)から2年以内の政令で定める日。
◆著作権法の改正
◎電子書籍に対応した出版権の整備
電子書籍が増加する一方、出版物が違法に複製され、インターネット上にアップロードされた海賊版被害が増加していることから、紙媒体による出版のみを対象としている現行の出版権制度を見直し、電子書籍に対応した出版権の整備を行う。
【施工日】平成27年1月1日
◆国民年金法等の改正
◎年金保険料の納付率の向上方策等
(1)納付猶予制度の対象者を30歳未満の者から50歳未満の者に拡大
(2)大学等の学生納付特例事務法人について、学生から納付猶予の申請の委託を受けた時点から、当該納付猶予を認める
(3)現行の後納制度に代わって、過去5年間の保険料を納付することができる制度を創設
(4)保険料の全額免除について、指定民間事業者が被保険者からの申請を受託できる制度を設ける
(5)滞納した保険料等に係る延滞金の利率を軽減する。
【施行日】(1)は、平成28年7月1日、(2)は平成26年10月1日、(3)は平成27年10月1日、(4)は平成27年7月1日、(5)は平成27年1月1日
◎事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設
事務処理誤り等の事由により、国民年金保険料の納付の機会を逸失した場合等について、特例保険料の納付等を可能とする制度を創設する。
【施行日】公布日から2年以内の政令で定める日