下請法による親事業者の義務と禁止行為
◆下請法の対象となる取引
【物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合】
*親:資本金3億円超 ⇒ 下請:資本金3億円以下(個人を含む)
*親:資本金1千万円超3億円以下 ⇒ 下請:資本金1千万円以下(個人を含む)
【情報成果物作成・役務提供委託を行う場合(上記の情報成果物・役務提供委託を除く)】
*親:資本金5千万円超 ⇒ 下請:資本金5千万円以下(個人を含む)
*親:資本金1千万円超5千万円以下 ⇒ 下請:資本金1千万円以下(個人を含む)
◆親事業者の義務(4項)
◎書面の交付義務
発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面を直ちに下請事業者に交付する。
◎支払期日を定める義務
下請事業者との合意の下に、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず、下請代金の支払期日を物品等を受領した日(役務提供委託の場合は、役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める。
◎書類の作成・保存義務
下請事業者に対し製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした場合は給付内容、下請代金等について記載した書類を作成し2年間保存する。
◎遅延利息の支払義務
下請代金をその支払期日までに支払わなかったときは、下請事業者に対し、物品当を受領した日(役務提供委託の場合は、役務の提供をした日)から起算して60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について、その日数に応じて当該未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う。
◆親事業者の禁止行為(11項目)
◎受領拒否の禁止
下請事業者に対して委託した給付の目的物について、下請事業者が納入してきた場合、親事業者は下請事業者に責任がないのに受領を拒む行為。
◎下請代金の支払遅延の禁止
物品等を受領した日(役務提供委託の場合は、役務が提供された日)から起算して60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わない行為。
◎下請代金の減額
発注時に決定した下請代金を「下請事業者の責に帰すべき理由」がないにもかかわらず発注後に減額する行為。
◎返品の禁止
下請事業者から納入された物品等を受領した後に、その物品等に瑕疵があるなど明らかに下請事業者に責任がある場合以外で、受領後に返品する行為。
◎買いたたきの禁止
発注に際して下請代金の額を決定するときに、発注した内容と同種又は類似の給付の内容(又は役務の提供)に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定める行為。
◎購入・利用強制の禁止
下請事業者に注文した給付の内容を維持するためなどの正当な理由がないのに、親事業者の指定する製品(自社製品を含む)・原材料等を強制的に下請事業者に購入させたり、サービス等を強制的に下請事業者に利用させて対価を支払わせたりする行為。
◎報復措置の禁止
下請事業者が親事業者の下請法違反行為を公取委又は中企庁に知らせたことを理由に、取引数量を減じたり、取引停止したり、その他不利益な取り扱いをする行為。
◎有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
下請事業者の給付に必要な半製品、部品、付属品又は原材料を有償で支給している場合に、下請事業者の責任に帰すべき理由がないのにこの有償支給原材料等を用いて製造又は修理した物品の下請代金の支払期日より早い時期に当該原材料等の対価を下請事業者に支払わせたり下請代金から控除(相殺)したりする行為。
◎割引困難な手形の交付の禁止
下請事業者に対し下請代金を手形で支払う場合、支払期日までに一般の金融機関で割り引くことが困難な手形を交付する行為。
◎不当な経済上の利益の提供要請の禁止
下請事業者に対して、事故のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害する行為。
◎不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止
下請事業者に責任がないのに、発注の取消し若しくは発注内容の変更を行い、又は受領後にやり直しをさせることにより、下請事業者の利益を不当に害する行為。