贈与税の制度と申告に係る注意点等
◆贈与税に係る主な制度の概要と注意点
贈与税がかかる場合には、財産をもらった人が申告と納税する必要があります。平成26年分の贈与税の申告書の受付は、平成27年2月2日~同年3月16日までです。
◎暦年課税
贈与税は、受贈者が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりませんので、贈与税の申告は不要です。
基礎控除額は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。したがって、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、その贈与を受けた財産の合計額から控除できる基礎控除額は贈与者の人数に関わらず110万円となります。
なお、110万円を超える財産をもらったときであっても、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる特例(配偶者控除)があります。
◎相続時精算課税
相続時精算課税を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から特別控除額2,500万円(前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となる)を控除した残額に対して贈与税がかかります。
この特別控除を受けるためには、贈与税の期限内申告が必要です。また、相続時精算課税を選択した場合は、贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更できません。
なお、平成26年12月31日までの間に、親から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の子が一定条件を満たすときは、贈与者である親の年齢が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
◎直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を事故の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てて、同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以後遅滞なく事故の居住の用に供することが確実であると見込まれる場合、平成26年中は省エネ等住宅の場合は1,000万円、一般住宅の場合は500万円(東日本大震災の被災者の場合は、省エネ等住宅1,500万円、一般住宅1,000万円)まで贈与税が非課税となります。
適用を受けるためには、一定の書類を添付して、所轄税務署に提出する必要があります。
◆Q&A
Q.生命保険契約の契約者の名義を変更した場合、贈与税の対象となりますか?
A.生命保険契約の契約者を変更しただけでは、贈与税は課税されません。贈与税が課税されるのは、被保険者の死亡や保険期間の満期により、保険料を負担していない人が生命保険金を受け取った場合等に限られます。なお、被保険者の死亡により受け取った生命保険金うち、被保険者が保険料の負担者となっていたものについては、相続税の対象となります。
Q.前年に実父からの贈与につき相続時精算課税を適用して贈与税の申告をしています。翌年に実父から現金50万円の贈与を受けましたが、贈与税の基礎控除が110万円ですので、申告は不要ですか?
A.実父からの贈与については、前年に相続時精算課税の適用を受けていますから、暦年課税に係る贈与税の基礎控除の適用はなく相続時精算課税による贈与税の申告が必要です。なお、期限内申告でない場合は、特別控除が適用されず、20%の税率で贈与税がかかります。
Q.現在居住している受託のローンを返済するために、父から金銭の贈与を受けましたが、非課税の特例は適用できますか?
A.非課税の特例は居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合に限られていますので、住宅ローンを返済するための金銭の贈与を受けた場合には非課税の特例の対象となりません。