生産性向上設備投資促進税制の運用実績と制度の概要
◆生産性向上設備投資促進税制の運用実績(経済産業省)
「生産性向上設備投資促進税制」は、民間設備投資の目標(年間約70兆円)を達成すべく、質の高い設備投資を後押しするために創設された税制です。利用できる業種や企業規模に制限はなく、機械装置や器具備品から建物、ソフトウエアまで幅広い設備が対象となっており、即時償却又は最大5%の税額控除(中小企業者は最大10%)が適用できます。
なお、本税制の「先端設備(A類型)」は設備毎に税制措置を受けることができ、申請に当たっては、工業会等から設備毎に当該設備が基準を満たす旨の証明を受けることとなっています。また、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)」は、設備を導入する事業者が作成する投資計画に記載されている設備一式がまとめて税制措置を受けることができ、申請に当たっては、投資計画の投資利益率が基準を満たすことについて経済産業局の確認を受けることとなっています。
◎証明書(A類型)発行状況
・昨年12月末時点で発行件数は、115,470件となり、特に7月から12月までの半年間は右肩上がりに増加している。
・設備種類毎の内訳は、機械装置52.8%、器具備品22.5%、建物付属設備18.4%、ソフトウエア6.2%と多岐に渡る種類の設備について証明書が発行されている。
◎確認書(B類型)発行状況
・確認書発行件数は昨年12月末時点で4,767件となり、製造業(40%)のみならず、小売業(27%)や医療・福祉(8%)、生活関連サービス業・娯楽業(6%)など、流通業やサービス業といった非製造業にも広く活用されている。
・確認書の発行を受けた中小企業者等の割合は51.7%と全体の半分以上を占める。
◆生産性向上設備投資促進税制の概要
産業競争力強化法の施行日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物付属設備、構築物及びソフトウエアで、同胞に規定する生産性向上設備等(「先端設備」及び「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」)に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、事業のように供した場合には、即時償却又は5%(建物・構築物は3%)の税額控除が選択適用できるものとする(税額控除における税額控除額は、当期の法人税額の20%が上限)。
※平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に取得した場合は、取得価額の50%特別償却(建物・構築物は25%)又は4%税額控除(建物・構築物は2%)の選択適用。
※生産等設備(事業の用に直接供される減価償却資産)のみが対象であり、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等(いわゆるバックオフィス)は対象外。
【先端設備の要件】
「機械装置」及び一定の「工具」「器具備品」「建物」「建物付属設備」「ソフトウエア」のうち、下記要件を全て満たすもの
・一定期間内※に販売された最新モデル(ソフトウエア組込型機械装置は一代前モデルも含む)
※一定期間内とは、機械装置:10年以内、器具備品:6年以内、工具:4年以内、建物、建物付属設備:14年以内、ソフトウエア:5年以内
・旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するもの(ソフトウエアについては適用しません)
・最低取得価額以上
※工業会等の確認、証明書が必要(原則、設備メーカーが興業会等から確認等を行う)。
【生産ラインやオペレーションの改善に質する設備の要件】
「機械装置」「工具」「器具備品」「建物」「建物付属設備」「構築物」「ソフトウエア」のうち、下記要件を全て満たすもの
・税理士、公認会計士が内容を確認した投資計画について、設備投資による効果として投資利益率が年平均15%以上(中小企業者等は5%以上)となることが見込まれることにつき、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けたものであること。
・最低取得価額以上